大型IR建設ラッシュ続くマカオ、ホテル客室供給数1.7倍の5万室超へ=半数占める日帰り旅客の取り込みが鍵
- 2015/12/1 15:07
- 産業・経済
マカオでは新興埋立地のコタイ地区を中心に、大型IR(統合型リゾート)の建設ラッシュが続いている。
マカオ政府土地工務運輸局は11月30日、今年第4四半期(2015年7〜9月)時点で着工済みのホテルが18軒、計画段階のものが33軒あり、これら51軒の合計客室数が2万1000室に上ることを明らかにした。第3四半期末時点で営業中のホテル客室数は3万室となっており、建設中または計画中の数を加えると、およそ1.7倍の5万1000室となる。
今年第3四半期時点で着工済みのホテル18軒の合計予定客室数は1万2132室。エリア別の分布では、マカオ半島が9軒588室、大型IR集積エリアにあたるコタイ地区が6軒1万244室、タイパ島が2軒1064室、コロアン島が1軒236室。いずれも2017年頃までの完成を目指す案件とみられる。
建築計画中のホテル33軒の客室数は8829室。エリア別の分布では、マカオ半島が27軒3354室、コタイ地区が3軒4881室、タイパ島が1軒126室、コロアン島が2軒468室。
21世紀に入って以降、マカオを訪れる旅客数の急増に伴い、ホテル宿泊価格は右肩上がりの上昇を続けてきたが、昨今のホテル開業ラッシュによる供給増を受け、価格は平準化に向かい、9割前後を誇った客室稼働率も8割前後にまで低下している。
目下、マカオを訪れる旅客の約半数が中国広東省や香港といった近場からの日帰り旅客となっており、官民ともに旅客のマカオ滞在時間を延ばし、宿泊需要を喚起することを目標に掲げた取り組みを行っている。また、マカオのホテル客室総数の大半を3〜5つ星ホテルが占めることから、幅広い旅客層の宿泊ニーズを取り込むため、バジェットホテル(格安宿泊施設)の拡充などを求める声も聞かれる。
なお、カジノ売上では米国ラスベガスのおよそ6倍という圧倒的な世界一のポジションにあるマカオだが、ホテル客室供給数では同市の約15万室を大きく下回っている。