マカオ、総体犯罪件数減もカジノに絡む高利貸しと違法監禁事案は3割増=1〜9月統計
- 2015/12/3 11:51
- 社会・政治
マカオのカジノ売上が昨年(2014年)6月から今年11月まで18ヶ月連続で前年割れとなり、今年1〜11月の累計で前年同期比35.3%減を記録している。地元市民の間では、カジノ市場の長期低迷が治安に与える影響について心配する声も聞かれる。
マカオ保安庁は12月2日、今年1〜9月期の犯罪統計を発表。総体犯罪件数は前年同期比2.2%減の1万347件だった。一方、暴力犯罪は30.8%増の561件に達し、全体の54.9%にあたる308件を「違法監禁」が占めたが、殺人、誘拐、暴行といった重大暴力犯罪はゼロまたは低い発生率を維持している。
黄少澤マカオ保安局長は記者会見の中で、昨今のカジノ市場の低迷に伴う治安へのネガティブ影響は見受けられないとした。黒社会と呼ばれる犯罪組織に目立った動きについても報告されていないという。
黄長官によると、カジノと関連する高利貸し及び違法監禁事案について、今年3月以降に急増したとのこと。被害者及び加害者の大部分はマカオ市民ではなく中国本土や香港出身者である上、前者の72%、後者の82%がカジノ内で発生したことから、一般市民生活にマイナス影響を与えるものではないとの見方を示した。司法警察局の賭博関連犯罪捜査を担当チームによる今年1〜9月の送検人数は52%増の1281人で、賭博関連犯罪に対する取り締まり強化の成果が上がっているとした。
昨今のマカオのカジノ売上低迷の背景にはマカオを訪れる大口ギャンブラーの減少があるとされ、高利貸しが借り手を見つけにくい状況の中、これまでよりも表立って活動し、広く集客をしているようだ。また、返済不能に陥った債務者に対する回収も一層厳しさを増していることから、監禁して返済迫る行為につながっているものとみられる。