訪マカオ旅客の非カジノ消費がラスベガスに追いつく=マカオ政府がゲーミング産業中間レビュー報告書公表

マカオ特別行政区政府は5月11日に記者会見を開き、ゲーミング(カジノ)産業中間レビュー報告書を公表。マカオのカジノ経営ライセンスの対外開放が実現した2002年以来で初めてとなる官製の「身体検査レポート」としてその内容に注目が集まっている。

同レポートは昨年マカオ特別行政区政府が(公立)マカオ大学コマーシャルゲーミング研究所に対して委託した「カジノ経営ライセンスの対外開放が経済、社会、民生へ与えた影響及びカジノ経営ライセンスを保有する6社の運営状況」についての研究成果をまとめたもので、6社の契約履行状況及び経営概況をチェックする意味合いを持つとされる。

記者会見にはマカオ政府経済財政庁のライオネル・リョン経済財政庁長官、カジノ管理当局にあたるDICJのパウロ・マルチンス・チャン局長、マカオ大学コマーシャルゲーミング研究所のデービス・フォン所長が出席した。リョン長官は、報告書は「身体検査」のようなものであると表現した上、6社それぞれが業界の競争能力、問題点、改善不足、絶え間ない商品とサービス水準の向上、健康的な競争の促進について見つめ直すことで、さらなる業界全体の競争力アップを図ることができるだろうと語った。

レビュー報告書内容で、地元メディアから特に注目された部分は下記の通りだ。

6社が2014年に創出した非カジノ部門の売上は232億パタカ(日本円換算:約3147億円)で、現在の訪マカオ旅客による非カジノ消費量は米国ラスベガスに並んだ(※マカオのカジノ売上はすでに2007年時点でラスベガスを上回っている)。また、6社の2014年時点のマネージャー級以上の社員は1万2329人、このうち82%がマカオ市民(マカオ居留権保有者)だった。

2002年のカジノ経営ライセンスの対外開放以降、2014年末までの6社の累計投資額は2623.1億パタカ(約3兆5584億円)に達しており、金額が大きい順にヴェネチアンが全体の33%を占める869.7億パタカ(約1兆1798億円)、メルコが20%の526.8億パタカ(約7146億円)、ギャラクシーが19%の509.1億パタカ(約6906億円)、ウィンが12%の318.3億パタカ(約4318億円)、SJMが8%の218.9億パタカ(約2969億円)、MGMが7%の180.2億パタカ(約2444億円)。売上に占めるカジノ売上の比率については、比率が高い順にSJMの98%、ギャラクシーの96%、MGMの95%、メルコの91%、ウィンの87%、ヴェネチアンの79%。建築面積に占めるカジノフロアの比率については、比率が高い順にSJMの72%、MGMの29%、ギャラクシーの14%、ウィンの9%、ヴェネチアンの8%、メルコの7%となっている。

なお、6社の持つカジノ経営ライセンスの契約期間は20年間で、2社が2020年、4社が2022年に満期を迎える中、今回のレビュー報告書及び記者会見においても更新に関する方針は一切示されなかった。6社とも更新に意欲を持っているとされる。

ゲーミング(カジノ)産業中間レビュー報告書の公表会見。左から順にマカオ大学コマーシャルゲーミング研究所のデービス・フォン所長、マカオ政府経済財政庁のライオネル・リョン長官、DICJのパウロ・マルチンス・チャン局長=5月11日、マカオ(写真:GCS)

ゲーミング(カジノ)産業中間レビュー報告書の公表会見。左から順にマカオ大学コマーシャルゲーミング研究所のデービス・フォン所長、マカオ政府経済財政庁のライオネル・リョン長官、DICJのパウロ・マルチンス・チャン局長=5月11日、マカオ(写真:GCS)

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