およそ2年にわたってカジノ売上の低迷が続くマカオだが、訪マカオ旅客数は年間3000万人を上回る水準で安定的に推移しており、新興埋立地のコタイ地区を中心にカジノを含む大型IR(統合型リゾート)の建設ラッシュは依然として健在だ。
マカオ政府土地工務運輸局は5月20日、今年第1四半期(2016年1〜3月)時点で着工済みのホテルが17軒、計画段階のものが34軒あり、これら51軒の合計客室数が1万9658室(着工済:1万774室、計画段階:8884室)に上ることを明らかにした。
マカオ政府統計調査局の資料によれば、今年第1四半期末時点で営業中のホテル数は前年の同じ時期から7軒増の106軒、客室数は13.6%増の3万2103室となっている。これに上述の建設中及び計画中のものを加えると、ホテル数は157軒、客室数は今年第1四半期からおよそ1.6倍の5万1761室となる。
マカオは人口約65万人、面積約30平方キロという小さな街だが、世界遺産やカジノを核とした大型IRに加え、マカオグランプリなどの国際イベントが数多く開催されるアジア有数の観光都市として知られる。
21世紀に入って以降の訪マカオ旅客数の急増に伴い、ホテル宿泊価格も右肩上がりの上昇を続けてきたが、昨今のホテル開業ラッシュによる供給増を受け、価格は平準化に向かい、9割前後を誇った客室稼働率も昨年通期では前年から6.0ポイント下落となる80.5%にまで低下している。昨年通期の訪マカオ外客数は延べ3071万4628人で、前年から2.5%減だったものの3000万人の大台を2年連続突破した。
なお、カジノ売上では米国ラスベガスのおよそ6倍という圧倒的な世界一のポジションにあるマカオだが、ホテル客室供給数では同市の約15万室を大きく下回っている。