マカオ版ゆりかもめ、2019年タイパ線先行開業見通し=約4年遅れ、建設費膨張
- 2016/6/25 10:15
- 産業・経済
マカオ初となる軌道系大量輸送機関として大きな期待がかかるマカオ新交通システム(マカオLRT)第1期プロジェクトだが、2012年末の一部着工以降、建設工事の大幅な遅延により全通時期のメドが立たない状態が続いている。
マカオLRT第1期プロジェクトはマカオ半島北部の關閘から外港フェリーターミナル、新口岸、南灣湖を経由して媽閣に至るマカオ半島線、媽閣から西灣大橋を経てタイパ島に入り、大型IR(統合型リゾート)が建ち並ぶコタイ地区を通ってマカオ国際空港、タイパフェリーターミナルに至るタイパ線の2線、21駅、21キロメートルで構成される。
マカオ政府運輸工務庁のライムンド・ロザリオ長官は6月23日、マカオLRTプロジェクトの進捗状況について、先行着工したタイパ線の9.3kmの土木工事と11の駅舎部分の工事が今年(2016年)末までに完成、中断している車両基地の工事を年末にも再開を予定しているとし、2019年にも開業できるとの見方を示した。タイパ線着工時点での開業予定は2015年4月だったことから、およそ4年の遅延となる。
また、建設費も膨張を続けている。2007年時点で第1期プロジェクトの総コストは42億パタカ(日本円換算:約538億円)と試算されていたが、2009年には75億パタカ(約960億円)、2011年には110億パタカ(約1409億円)、2012年には142億パタカ(約1819億円)へ修正された。
マカオ政府運輸工務庁によれば、現時点ではタイパ線(将来的にマカオ線と共用となる車両基地含む)だけで110億パタカのコストがかかることを明らかにしており、単純計算すると1kmあたりのコストは11.8億パタカ(約151億円)にも達する。
マカオLRT第1期プロジェクトは、国際入札を経て日本の三菱重工と伊藤忠商事の共同体が駅舎と土木工事を除くLRTシステム一式を46億8800万パタカ(約600億円)で受注しており、マカオの公共工事として日本企業が獲得した最大規模の案件としても注目されている。東京の「ゆりかもめ」と同タイプ(クリスタルムーバー型)の日本製の鉄道車輌がマカオの街を走る予定。
なお、マカオ半島線については、現在もルート調整作業などが進められており、本格着工できていない状態で、開通時期は依然として未定のままとなっている。一方、すでにタイパ線からコロアン島方面及び中国・広東省珠海市横琴新区方面への支線延伸計画の準備が進められている。