マカオのカジノ売上が2014年6月から今年(2016年)6月まで25ヶ月連続で前年割れとなる中、地元市民の間ではカジノ市場の長期低迷が治安に与える影響について心配する声も聞かれる。
マカオ司法警察局は7月12日、同局本部で創設56周年記念式典を開催したのに合わせ、昨年6月から今年5月までの1年間の重大犯罪の立件数統計を公表。殺人が1件(前年同期比+1)、カジノ高利貸しと無関係の監禁が9件(+4)、誘拐が1件(±0)、恐喝が93件(+8)、放火が18件(+1)、カジノと無関係の高利貸しが13件(+12件)、麻薬密売が100件(+13件)、窃盗が1288件(-135)、強盗が81件(-5)と概ね安定した傾向だった一方、カジノ高利貸しが389件(+148)、カジノ高利貸しと関連する債権者監禁が435件(+291)と急増したことが明らかになった。
周偉光局長によれば、高利貸し及び債権者監禁犯罪が急増したことについて、同局の主動的な取り締まりによるものが大部分で、かつ大多数がカジノ施設内で発生したものであり、加害者、被害者ともにマカオ市民でないことがほとんどのため、一般社会の治安に脅威を与えるには至っていないとのこと。また、同局として今後もカジノ施設内外のコントロール及び24時間駐在体制を維持するほか、カジノ運営企業の警備、監視部門と連携を密にしながら、カジノの治安環境の浄化に努めるとした。
昨今のマカオのカジノ売上低迷の背景にはマカオを訪れる大口ギャンブラーの減少があるとされ、高利貸しが借り手を見つけにくい状況の中、これまでよりも表立って活動し、広く集客をしているようだ。また、返済不能に陥った債務者に対する回収も一層厳しさを増していることから、監禁して返済を迫る行為につながっているものとみられる。