マカオ政府がドッグレース場に退去要求…2年以内に=移転再出発の道も残す

マカオ政府のギャンブル監理部門にあたるDICJは7月21日、ドッグレースを運営するマカオ逸園カニドローム社のに対し、同日から2年以内にドッグレース場を現在の場所から退去するよう要求した。

DICJが同日午後に発出したプレスリリースによれば、同局のパウロ・マルチンス・チャン局長がマカオ逸園カニドローム社のアンジェラ・リョン執行取締役及びスタンレー・レイCEOと会談した際に伝えたとのこと。

また、DICJはマカオ逸園カニドローム社に対し、ドッグレース場の退去期限となる2年以内にドッグレースの存続または廃止の立場を明確にすることも求めた。なお、廃止とする場合には法律に基づき従業員の処遇に最善を尽くし、レース犬を適切な場所に移すこと、存続を希望する場合にはレース犬の飼育環境及びレースアレンジの改善した上、周辺住民に影響が及ばない場所へレース場を移転することといった諸条件を設けている。

政府の要求に対し、マカオ逸園カニドローム社のアンジェラ・リョン執行取締役は政府の決定を尊重し、期限までに判断を行い適切に対処するとコメントしたとのこと。

DICJでは、今回の決定の理由について、マカオ政府として世界的ツーリズム・レジャーセンターを目指したゲーミング産業の多元化を推進していること、社会的最大公約数の利益、同局がマカオ大学に委託したドッグレースの存廃に関する学術研究の結果などを総合的に考慮したものであるとした。

マカオ半島北部にあるドッグレース場の入場ゲート(資料)-本紙撮影

マカオ半島北部にあるドッグレース場の入場ゲート(資料)-本紙撮影

かつてマカオのギャンブルの花形として栄えたドッグレースだが、近年はファンの高齢化、売上の減少、施設の老朽化が進み、さらには動物愛護団体から虐待だとする指摘を受けるなど、存続の是非が活発に議論されるようになった。マカオにおけるカジノ以外のギャンブルについては、スポーツくじを除いて苦戦が伝えられている。昨年のドッグレースの売上は1億4500億パタカ(日本円換算:約19億2999万円)で、カジノの2308億4000万パタカ(約3兆705億円)に遠く及ばない規模となっている。現在、アジア太平洋地域で合法ギャンブルとしてのドッグレースが存続するのはマカオのみ。

マカオでドッグレースがスタートしたのは1932年のこと。1963年以降、マカオ逸園カニドローム社が独占経営している。なお、マカオ特別行政区政府とマカオ逸園カニドローム社との契約が今年(2016年)末で満期を迎える。

マカオ逸園カニドローム社はマカオのカジノ経営ライセンスを持つ6陣営の一角にあたるSJMホールディングスやスポーツくじ及び競馬運営会社などを傘下に持つ総合観光・娯楽企業グループSTDM社(本社:マカオ)グループの一員。

DICJのパウロ・マルチンス・チャン局長(右)とマカオ逸園カニドローム社のアンジェラ・リョン執行取締役(中央)及びスタンレー・レイCEO(左)との会談の様子=7月21日(写真:DICJ)

DICJのパウロ・マルチンス・チャン局長(右)とマカオ逸園カニドローム社のアンジェラ・リョン執行取締役(中央)及びスタンレー・レイCEO(左)との会談の様子=7月21日(写真:DICJ)

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