マカオ当局、カジノ従業員の賭博禁止化を計画=来年にも法改正、依存症対策の一環

21世紀に入って以降、マカオでは大型IR(統合型リゾート)の開幕が相次いでおり、現在では面積約30平方キロという小さな街に大小合わせて36軒のカジノ施設が建ち並ぶ。昨年(2015年)の年間カジノ売上は日本円で約3兆円に上り、米国ラスベガスを大きく上回る世界一の座にある。

マカオのギャンブル監理当局にあたるDICJのパウロ・マルチンス・チャン(陳達夫)局長は7月24日に地元テレビ局の公開討論番組にパネリストとして出演した際、同局として来年(2017年)をめどにカジノ入場制限に関する法律を見直す計画を進めていることを明らかにした。各種研究レポートの内容を総合的に判断した際、カジノディーラーがギャンブル依存に陥りやすいとされることから、マカオに6陣営あるカジノ運営会社の従業員に対してマカオのカジノ施設での賭博を禁止する内容を含むものを想定しているという。

現状、マカオのカジノ運営企業では、内規により従業員の自社グループ施設での賭博を禁じている場合がほとんどだが、他陣営のカジノ施設における賭博ついては特に規定が存在しないというのが現状だ。

カジノディーラーがギャンブル依存に陥りやすいとされる理由については、ゲームのルールに詳しいため自分なら勝てると勘違いする、目の前で大金が動くゲームを仕切る立場であることから金銭感覚が麻痺する、日々カジノ内で仕事をすることで非日常的な雰囲気に慣れきっていることなどが指摘されている。また、ギャンブル依存が原因で借金を抱えたカジノディーラーが借金返済のため業務中にカジノチップを詐取するなどの犯罪に手を染めるケースも珍しくない。

チャン局長によれば、法改正の準備のため、すでにカジノ従業員の労働組合、ギャンブル依存対策組織、カジノ運営6陣営からのヒアリングを実施済みとのこと。なお、現時点ではカジノ入場制限をディーラー職スタッフに限定するか、カジノ運営企業の従業員全員にまで広げるかについては未定という。

カジノ産業はマカオ経済の屋台骨で、カジノ従業員が5万人を超える。ただし、マカオのカジノ利用客は中国本土を中心とした域外からの旅客が大半を占めることから、仮にマカオのカジノ従業員の賭博が禁止になった場合でも、カジノ売上に及ぼす影響は極めて軽微と予想される。年間の訪マカオ旅客数は3000万人以上に達している。

カジノチップとバカラのゲーミングテーブルのイメージ(資料)—本紙撮影

カジノチップとバカラのゲーミングテーブルのイメージ(資料)—本紙撮影

関連記事

最近の記事

  1.  マカオ治安警察局は3月26日、同月23日にマカオ半島北部の祐漢エリア一帯で違法売春に対する取り締…
  2.  きょう(3月28日)、マカオ国際空港を本拠地とするマカオ航空(NX)の東京(成田)〜マカオ線が就…
  3.  2025年度の「アジアのベストレストラン50(Asia’s 50 Best Restaurant…
  4.  マカオでウィンマカオ(マカオ半島新口岸地区)及びウィンパレス(コタイ地区)の両カジノIR(統合型…
  5.  マカオ政府のデング熱予防ワーキンググループは3月26日に年次のワーキング会議を開き、今年(202…

ピックアップ記事

  1.  マカオで統合型リゾート(IR)を運営するサンズチャイナと米国のホテル大手マリオットインターナショ…
  2.  マカオの新交通システム「マカオLRT(Light Rapid Transit)」の新線「横琴線(…
  3.  マカオのマカオ半島側とタイパ島を結ぶ4番目の跨海大橋となる「マカオ大橋(澳門大橋/Ponte M…
  4.  仏ミシュラン社は3月13日、香港・マカオでも高い知名度と信頼性を誇る人気グルメガイド「ミシュラン…

注目記事

  1.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  2.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  3.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  4.  日本も出場した女子バレーボールネーションズリーグ(VNL)予選第2週のマカオ大会が5月28日から…
  5.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2025年4月号
(vol.142)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun