マカオ、孫文が1893年に創設した「中西薬局」跡の修復完了…12月15日から一般公開

辛亥革命(1911)によって清朝を倒し、中華民国を建国したことから「近代中国の父」と呼ばれる孫文(1866〜1925)。日本との縁が深い人物として知られるが、一時期マカオに暮らし、医師として開業していたことから、その足跡を辿ることができる場所も残っている。

マカオの政府文化局(ICM)は12月14日、マカオ歴史市街地区の草堆街80番地にある「中西(チョンサイ)薬局」跡の修復工事が完了し、12月15日からミュージアムとして一般公開することを明らかにした。

草堆街80番地の建物は長らく廃屋だったが、近年になって文化局が調査に乗り出したところ、複数の史料から1893年に孫文が創設した診療所兼調剤薬局「中西薬局」跡だったことが判明。マカオ政府は、歴史的、文化的に高い価値を有するものとし、辛亥革命100周年にあたる2011年、この建物を3600万パタカ(日本円換算:約5.2億円)で買い取り、一般公開のための修復プロジェクトをスタートさせた。

建物は1892年以前に建てられたもので、下層階が店舗と診療所、上層階が住居スペースの3階建てとなっており、孫文が生活の拠点としていたとみられる。また、孫文は診療及び施薬を通じ、革命に向けた宣伝及び支持集めを行っていたともいわれている。中西薬局創設当時のマカオは1845年にポルトガルが清国の税関官吏を追い出し、1887年に正式に植民地化した直後にあたる。

草堆街は旧市街エリアの一角にあり、かつてマカオの主要港だった内港に近く、古くから商業地として栄えた場所で、現在も昔ながらの町並みが比較的多く残る。

同ミュージアムでは、開幕にあたって建物の修復過程及び孫文生誕150周年を記念するエキジビションを開催するとのこと。オープン時間は午前10時から午後6時まで、休館日は毎週火曜日、入館料は無料。なお、開幕日となる12月15日のみ午後3時30分オープン。

ミュージアムとして一般公開される「中西薬局」跡(写真:ICM)

ミュージアムとして一般公開される「中西薬局」跡(写真:ICM)

関連記事

最近の記事

  1.  マカオを中心にアジア、欧州で統合型リゾート(IR)施設の開発・所有・運営を行うメルコリゾーツ&エ…
  2.  マカオの新交通システム「マカオLRT(Light Rapid Transit)」を運営する澳門輕…
  3.  マカオ政府統計調査局は11月20日、今年(2024年)1〜9月の小売業販売額調査結果を公表。 …
  4.  マカオ政府統計・センサス局は11月20日、今年第3四半期(2024年7〜9月)の金融業人材需給及…
  5.  マカオ政府公共建設局(DSOP)の発表によれば、コタイ地区の南東部に位置する約9万4000平米の…

ピックアップ記事

  1.  マカオで統合型リゾート(IR)を運営するサンズチャイナと米国のホテル大手マリオットインターナショ…
  2.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  3.  マカオ政府は6月17日、政府がコタイ地区の南東部に位置する約9万4000平米の国有地を活用し、約…
  4.  マカオの新交通システム「マカオLRT(Light Rapid Transit)」を運営するマカオ…
  5.  マカオのマカオ半島側とタイパ島を結ぶ4番目の跨海大橋となる「マカオ大橋(澳門大橋/Ponte M…

注目記事

  1.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  2.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  3.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
  4.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  5.  日本も出場した女子バレーボールネーションズリーグ(VNL)予選第2週のマカオ大会が5月28日から…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年11月号
(vol.137)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun