8月23日にマカオを襲った台風13号により、マカオ全域で甚大な人的、物的被害が発生した。年中無休で営業するのが当たり前となっているカジノ施設についても、停電など影響により一部で営業停止を余儀なくされるなど、その影響はかつてない規模に達した。
マカオは世界一のカジノ売上を誇る都市として知られ、マカオ政府とコンセッション(カジノ経営権契約)を結ぶ6陣営がおよそ40のカジノ施設を運営している。
被災3日目(25日)、6陣営の先陣を切ってメルコ・リゾーツ・エンターテイメント(旧メルコ・クラウン・エンターテインメント)が支援策を打ち出した。その内容は、被災した従業員及び地域コミュニティとその復旧活動を支援するため、3000万パタカ(日本円換算:約4億円)の援助基金を設立するとともに、コタイ地区の大型IR(統合型リゾート)シティ・オブ・ドリームス内における「モーフィアス・ホテルタワー」の建設工事を中断し、2000人の建設作業員に対して最も深刻な被害を受けたエリアに赴き、復旧作業をサポートするよう指示するもの。
その後、従業員によるボランティアと建設作業員から成る2500人規模のメルコ部隊が組織され、がれきの撤去やペットボトル入りの水の配給、地域住民へのサポート緊急支援活動にあたったという。同社では、より多くの従業員がボランティア活動に参加しやすくするため、同週の週末に予定していたイベントを全てキャンセルしたほか、従業員家族の事情も考慮し、柔軟な勤務体系を認める判断を下した。
以降、MGMマカオ、サンズチャイナ、ギャラクシーエンターテイメントといった他のカジノIR運営企業によるボランティア部隊の派遣や援助金拠出などの地域コミュニティ支援策の表明が相次いだ。
メルコ・リゾーツ&エンターテイメントはマカオ・タイパ島で「アルティラマカオ」、コタイ地区で「シティ・オブ・ドリームス マカオ」及び「スタジオ・シティ マカオ」の大型IR(統合型リゾート)を運営するほか、「モカ」ブランドのスロット専門カジノ施設を市内各所に展開。また、フィリピン・マニラで「シティ・オブ・ドリームズ マニラ」を運営するなど、マカオ以外の市場へも進出。日本市場への進出意欲も示している。