マカオカジノ関連株大幅下落―英紙報道受け
- 2013/2/7 11:05
- 産業・経済
6日、香港証券取引所に上場するマカオのカジノ関連企業株が大幅に下落した。英国「タイムズ」紙が中国政府が汚職根絶のためマカオの一部のカジノ仲介業者(ジャンケット)の浄化に乗り出し、警察当局が中国本土の6都市で大掛かりな取り締まり、検挙活動に出ると報じたため。
7日付地元有力紙「澳門日報」が報じた。タイムズ紙の報道によると、「沓碼仔」と呼ばれる一部カジノ仲介業者がマネーロンダリング目的で中国本土のハイローラーをマカオへ案内し、大量の資金が中国から流出していると指摘。マカオのカジノ業関係者の「マカオのカジノが中国の公務員によるマネーロンダリングチャネルとなっており、中国中央政府は非合法な資金の海外流出に大きな関心を寄せている」とのコメントを紹介。また、汚職問題への厳しい対応姿勢を示す国家新指導部が抑止効果を狙って高級官僚や富豪への取り締まりに乗り出すとしている。
この報道を受け、香港証券取引所に上場しているマカオのカジノ関連企業株が全面安の展開となった。しかし、その後買い戻しが入った。下落幅はサンズチャイナが5.22%、ギャラクシー5.44%、SJM6.42%、ウィンマカオ6.76%、メルコ・クラウン及びメルコ・インターナショナルがそれぞれ4.99%と5.53%。MGMは7%下落したが、終値では0.33%の下落にとどまった。
メリルリンチ証券では、タイムズ紙の報道は情報ソースが明らかでないとする。最近マカオのカジノ関連企業株が上昇基調にあったことから、市場心理の軟化に伴い一旦調整が入ったものとの見方を示した。今回の10%程度の株価調整は、マカオのカジノにおけるVIPルームからの収入が20%下落していることを織り込んだものと思われる。また、VIPルームからの収入が1%減少するごとにマカオカジノ企業へ与える影響はEBITDA0.45%減程度、サンズチャイナに至っては0.25%と非常に軽微であるとした。
別の金融関係者の間でも楽観論が大半。今回のニュースがカジノ企業の業務に与える影響は大きいものではなく、ムード的なものでしかないとする。中国本土経済が復調の兆しを見せ、かつコタイ地区の大型リゾート計画が続々発表されている中、潜在的な発展の可能性が高いとする。1月のカジノ売上が好調だったことから、今後しばらく安定的に高水準を維持できると見られる。