飛び地にあるマカオ大学キャンパスで密入境対策訓練…フェンス隔てて中国本土
- 2018/7/10 11:44
- 社会・政治
2014年に開校したマカオ大学の新キャンパス。マカオと川を隔てて隣接する中国広東省珠海市の横琴新区に位置し、開校と同時に大学キャンパス敷地内がマカオ特別行政区の管轄範囲となり、いわば「飛び地」にあたる存在となった。キャンパスの外周はフェンスで囲まれ、出入口はマカオ・コタイ地区との間に新たに建設された河底トンネルのみとなっている。
しかしながら、開校後まもなく、キャンパス外周のフェンスを乗り越えて中国本土側からマカオへ密入境する事案が相次いだことで、大きな社会的関心事となった。
マカオ税関(澳門海關)は7月9日午前、広東省公安当局、マカオ大学警備チーム、マカオ政府交通事務局と合同でマカオ大学キャンパスにおける密入境対策部門の連携強化及び危機管理能力向上を目的とした大規模訓練を2年連続で実施。訓練は4人の密入境者が侵入したとのシナリオで行われ、警報システムの動作、各部門間の横断的情報共有及び臨機応変な対応、密入境者の捜索、追跡、身柄確保の手順などを確認したという。
マカオ税関によれば、今年(2018年)1月から6月までに摘発した密入境事案は前年の同じ時期から22%減の64件、密入境者数は同32%減の141人だったとのこと。また、2016年3月以降、マカオ大学キャンパスで密入境者は確認されておらず、各部門の連携による密入境対策が一定の成果を得たとの見方を示した。マカオ税関では、赤外線監視カメラの運用、ドローン部隊の立ち上げといった最新技術を用いた法執行能力の向上にも務めているとしている。
マカオは1999年にポルトガルから中国に返還されたが、以降も独自の出入境管理を行っている。中国本土籍の旅客がマカオを訪れる際、香港マカオ往来通行証と呼ばれる渡航証とビザに相当する渡航許可を取得するのが一般的だが、およそ2〜3ヶ月に1回7日間といったかたちで一定期間内の入境回数や滞在日数などに制限が設けられていることなどから、違法な就労や賭博、観光などを目的とした密航やオーバーステイが後を絶たない。不法行為を手引きする蛇頭も暗躍し、超過滞在者の隠れ家となる違法宿泊施設の存在なども社会問題化している。