マカオ政府、ドッグレース運営会社によるコンセッション延長申請を否決

マカオは豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノ施設ばかりが目立つが、実はその他のギャンブルも存在し、政府とコンセッション(経営権契約)を結ぶ民間事業者によって運営されている。

そのうちのひとつ、マカオ逸園カニドローム社が運営するドッグレースについて、政府との契約期限が今月(7月)20日に迫っており、政府は同社に対して翌21日までの退去を要請している。

アジア太平洋地域で合法ギャンブルとしてのドッグレースが唯一存続していたマカオだったが、すでにレースは6月30日をもって終了しており、1931年のスタート以降、87年(約20年の中断時期含む)という長い歴史が幕を閉じた。

マカオ政府のギャンブル監理監督部門にあたるDICJは7月12日、マカオ逸園カニドローム社からコンセッションの延長申請が出されていたこと、当該申請に関して、総合的判断により否決したことを明らかにした。

DICJによれば、延長申請が出されたのは昨年(2017年)のことで、マカオにおけるドッグレース廃止の代替案として海外で開催されるドッグレースを中継する方式へ変更する案及びマカオのドッグレースに所属する退役したグレイハウンド犬を5年間にわたって現在の犬舎で飼育する提案などが盛り込まれていたという。しかしながら、内容が具体性にかけるとし、両社で複数回に及ぶミーティングを行い、今年3月29日に補充資料が提出されたとのこと。

DICJが申請内容について検討を重ねた結果、世界各地で動物愛護意識が日増しに向上していること、マカオ市民がレース犬の保護に対して大きな関心を抱いていること、マカオ以外におけるドッグレースが動物愛護意識の普及によって停止が進んでいること、海外レースの中継ではマカオ経済の多元的発展につながらないこと、2016年にマカオ大学コマーシャルゲーミング研究所に委託した調査結果においてもドッグレースがマカオの税収、市民の就業、ドッグレース場周辺への経済効果、旅客の誘致につながっていないことなどを総合的に判断し、否決に至ったと説明。現行コンセッションに従って退去するようあらためて求めた。

かつてマカオのギャンブルの花形として栄えたドッグレースだが、近年はファンの高齢化、売上の減少、施設の老朽化が進み、さらには動物愛護団体から虐待だとする指摘を受けるなど、存続が厳しい状況が続いていた。

最盛期の1992年にはベット金額が5億パタカ(日本円換算:約68億円)超、納税額が3000万パタカ(約4億円)超を記録したが、直近の2017年のベット金額は4600万パタカ(約6億円)にとどまっていた。

ドッグレース場はマカオ半島北部の人口密集地にあり、跡地利用についても大きな注目が集まっている。

マカオ半島北部にあるドッグレース場の入場ゲート(資料)-本紙撮影

マカオ半島北部にあるドッグレース場の入場ゲート(資料)-本紙撮影

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