香港と珠海・マカオ結ぶ「港珠澳大橋」10月24日午前9時開通…着工から約9年、世界最長約55キロの跨海架橋プロジェクト
- 2018/10/19 22:08
- 香港・大湾区
マカオ政府広報官事務所は10月19日午後、臨時記者会見を招集し、中国が国家プロジェクトとして推進している香港と珠海(広東省)、マカオの三地をつなぐ「港珠澳大橋(ホンコン・ジュハイ・マカオ・ブリッジ)」が10月24日午前9時に正式開通すると発表。
開通日の前日にあたる10月23日に珠海側イミグレーション施設で開通セレモニーが開催され、崔世安(フェルナンド・チュイ)マカオ特別行政区行政長官が出席することも明らかにした。
陳致平(チャン・チーピン)報道官は記者会見において、大橋の開通によって広東省、香港、マカオの三地の間でヒト、モノ、カネの往来がそれぞれ活発化することで、必然的にマカオ経済の発展につながるものと期待しているとした。
港珠澳大橋の東の出入口は香港のランタオ島沖の人工島、西側の出入口はマカオ半島の北東沖の珠澳人工島で、島の北半分が珠海市、南半分がマカオ特別行政区の管理区域となり、イミグレーションビルは両方に跨って建つ。
従来のマカオと珠海を結ぶ陸路のイミグレーション施設では、マカオ側と珠海側でそれぞれ出入境の手続きをする必要があるが、港珠澳大橋珠澳人工島に新設されるイミグレーションではワンストップで両地を出入りする手続きを行う初めてのモデルを導入するとのこと。
港珠澳大橋は24時間運用となる。開通後、マカオと香港の間の出入りは即24時間対応するが、マカオと珠海の間の徒歩での往来は開通後しばらくの間は午前8時から午後10時までに限定するとしている。
港珠澳大橋は自動車専用道路となり、主要な公共交通手段としてマカオと香港の各イミグレーション施設間を結ぶシャトルバスが挙げられる。マカオ政府交通事務局の発表によれば、24時間運行で、運行本数は1日あたり200本超になるとのこと。ピークアワーは5分以内に1本、ノンピークアワーは10〜15分に1本、午前0時から午前6時の深夜時間帯は15〜30分に1本程度。片道運賃(大人)は午前6時から午後12時までが65マカオパタカ(日本円換算:約906円)、午前0時から午前6時までが70マカオパタカ(約975円)。所要時間はおよそ40分。
マカオ市街地と港珠澳大橋のマカオ側イミグレーション施設との間には路線バスの2つの新路線が設定されるほか、カジノ・リゾートホテルのシャトルバスやタクシーも乗り入れる。香港政府が同日発表した内容によれば、香港市街地と港珠澳大橋の香港側イミグレーション施設との間にも路線バス、ミニバス、タクシーが乗り入れるとした。港珠澳大橋を経由して香港市街地とマカオ市街地の間を結ぶ長距離バス路線も複数ルート運行されるほか、クロスボーダータクシーもお目見えする。
中国が国家プロジェクトとして建設を進めてきた港珠澳大橋は海底トンネルと複数の海上橋などで構成され、接続道路を含む総延長は世界最長の55キロに上る。2009年12月に着工し、開通までおよそ9年の月日を要した。設計寿命は120年。イメージとしては日本の東京湾アクアラインに近く、港珠澳大橋にも海底トンネルと海上橋の境になる人工島に「海ほたる」のような施設が設けられる。
港珠澳大橋の香港側のイミグレーション施設はランタオ島の香港国際空港すぐ近くに位置するため香港国際空港を利用したマカオ往来が容易となることから、マカオにとって「空港1つ分の経済効果」を期待するポジティブな見方もある一方、よりホテルの選択肢が豊富な香港への宿泊客の流出といったマイナス影響を懸念する声も聞かれる。開通後の旅客の動向が注目される。