香港と珠海・マカオ結ぶ「港珠澳大橋」開通…香港〜マカオ間がバスで約40分=世界最長約55キロの跨海架橋プロジェクト

中国が国家プロジェクトとして推進してきた香港と珠海(広東省)、マカオの三地をつなぐ「港珠澳大橋(ホンコン・ジュハイ・マカオ・ブリッジ)」が10月24日午前9時に正式開通した。

港珠澳大橋は海底トンネルと複数の海上橋などで構成され、接続道路を含む総延長は世界最長の55キロに上る。2009年12月に着工し、開通までおよそ9年の月日を要した。設計寿命は120年。イメージとしては日本の東京湾アクアラインに近く、港珠澳大橋にも海底トンネルと海上橋の境になる人工島に「海ほたる」のような施設が設けられる。

港珠澳大橋は自動車専用道路で、最高速度は橋梁部が時速100キロ、トンネル内が時速80キロの設定。主要な公共交通手段としてマカオと香港の各イミグレーション施設間を約40分で結ぶシャトルバスが挙げられる。24時間運行で、運行本数は1日あたり200本超を計画。運行頻度はピークアワーは5分以内に1本、ノンピークアワーは10〜15分に1本、午前0時から午前6時の深夜時間帯は15〜30分に1本程度の見込み。片道運賃(大人)は午前6時から午後12時までが65マカオパタカ(日本円換算:約906円)、午前0時から午前6時までが70マカオパタカ(約975円)。

港珠澳大橋のマカオ側と香港側のイミグレーション施設と往来するシャトルバスに乗り込む乗客=2018年10月24日、港珠澳大橋マカオ側イミグレーション施設内(写真:GCS)

港珠澳大橋のマカオ側と香港側のイミグレーション施設と往来するシャトルバスに乗り込む乗客=2018年10月24日、港珠澳大橋マカオ側イミグレーション施設内(写真:GCS)

マカオ市街地と港珠澳大橋のマカオ側イミグレーション施設との間には路線バスの2つの新路線が設定されるほか、カジノ・リゾートホテルのシャトルバスやタクシーも乗り入れる。香港市街地と港珠澳大橋の香港側イミグレーション施設との間にも路線バス、ミニバス、タクシーが乗り入れるとした。港珠澳大橋を経由して香港市街地とマカオ市街地、広東省の珠江西岸各都市の間を結ぶ長距離バス路線も複数ルート運行されるほか、クロスボーダータクシーもお目見えする。

橋の東の出入口は香港国際空港に近い香港・ランタオ島沖の人工島、西側の出入口はマカオ半島の北東沖の珠澳人工島で、島の北半分が珠海市、南半分がマカオ特別行政区の管理区域となり、イミグレーションビルは両方に跨って建つ。よって、マカオと珠海の間は徒歩で往来できる。マカオと香港の間の出入りは即24時間対応するが、マカオと珠海の間の徒歩での往来は開通後しばらくの間は午前8時から午後10時までに限定するとのこと。

マカオ治安警察局の発表によれば、開通初日の午後7時までのマカオ側イミグレーション出入境者数は延べ1万2243人だったとのこと。記者が午後5時頃にマカオから香港へ向かった際、シャトルバスの乗車券売場、通関、バス乗り場とも待ち時間ゼロでスムーズに利用することができた。

なお、正式開通に先立ち、前日にあたる23日に珠海側イミグレーション施設で開通式典が開催され、中国の習近平国家主席、香港及びマカオの両特別行政区の行政長官ら要人が出席。式典終了後、施設を視察した。

港珠澳大橋開通式典でスピーチを行う中国の習近平国家主席=2018年10月23日、中国・広東省珠海市(写真:GCS)

港珠澳大橋開通式典でスピーチを行う中国の習近平国家主席=2018年10月23日、中国・広東省珠海市(写真:GCS)

関連記事

最近の記事

  1.  マカオ政府統計・センサス局(DSEC)は3月28日、2024年12月〜2025年2月期の雇用統計…
  2.  きょう(3月30日)午後、マカオ半島新口岸地区にあるニューオリエントランドマークホテルのボールル…
  3.  澳門海關(マカオ税関)は3月27日、IT技術を補助手段して活用した密輸に対する水際対策の強化を講…
  4.  マカオ半島北部の祐漢エリアにある祐漢街市公園で3月29日、日本のIPを活用した「サンリオキャラク…
  5.  マカオではアフターコロナで社会・経済の正常化が進む中、歩行者による禁止場所及び赤信号での道路横断…

ピックアップ記事

  1.  仏ミシュラン社は3月13日、香港・マカオでも高い知名度と信頼性を誇る人気グルメガイド「ミシュラン…
  2.  マカオで統合型リゾート(IR)を運営するサンズチャイナと米国のホテル大手マリオットインターナショ…
  3.  マカオの新交通システム「マカオLRT(Light Rapid Transit)」の新線「横琴線(…
  4.  マカオのマカオ半島側とタイパ島を結ぶ4番目の跨海大橋となる「マカオ大橋(澳門大橋/Ponte M…

注目記事

  1.  日本も出場した女子バレーボールネーションズリーグ(VNL)予選第2週のマカオ大会が5月28日から…
  2.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  3.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  4.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  5.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2025年4月号
(vol.142)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun