鉄道が拓くマカオの未来

軌道系交通導入のきっかけ

「マカオLRT」第一期ルート (c) GIT 運輸基建辦公室

マカオ政府が正式に大量輸送機関としての軌道系交通の導入を提案したのは21世紀に入ってからのこと。2001年に政府が発表した翌年度の施政方針の中で初めて検討事項として明記された。2001年当時、マカオを訪れる観光客は通年で1千万人程度だったが、急速な都市の発展に伴う交通渋滞への対応策として、また、来るべき観光客2千万人超時代の到来を見据えた(2012年約3,000万人と実際は予想を上回るペースで伸長)インフラ整備の一環として計画が持ち上がった。マカオ政府は2002年に香港の地鐡有限公司(現在の香港鐡路=MTR)にコンサルティング業務を委託。数次に及ぶ研究結果等を考慮した上、2007年、最終的に高架新交通システム方式の採用と基本ルート案を決定する。

軌道系交通導入の素案が提出されたのと同じタイミングで建設計画が発表され、プロジェクト研究が行われる最中の2002年に着工、2004年に完成したマカオ半島とタイパ島を結ぶ西灣大橋は将来的な鉄道敷設を前提に設計・建設された(そこを通す鉄道の規格が具体的に決定しない段階での「見切り発車」)。これが後のマカオLRT建設事業者選定に大きな影響を与えることとなる。

自動車・鉄道共用橋として建設された西灣大橋。LRTは下層部中央を走る(資料)―本紙撮影
自動車・鉄道共用橋として建設された西灣大橋。LRTは下層部中央を走る(資料)―本紙撮影
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