鉄道が拓くマカオの未来
- 2013/2/18 14:27
- 特集
LRTの今後の展開
現在、「マカオLRT」は第二期ルートまで正式に発表されている状態。第二期ルートは第一期の起点關閘駅と終点媽閣駅の間をマカオ半島西部を経由して結ぶ約5キロ。開業後に第一期マカオ線を含めた環状線化する計画だ。しかし、設置駅数や詳細ルートで未確定要素もあり、現時点では着工時期、開業時期共に未定。この他、第一期タイパ線の蓮花大橋駅からロータスブリッジ経由で横琴新区の広珠都市間鉄道(広珠新幹線)駅との間を結ぶ連絡線、同駅からコロアン島北部の石排灣公営住宅群方面への延伸、マカオ半島西南海上及びタイパ島北岸に造成が予定されている臨海新都心、港珠澳大橋人工島(マカオイミグレーション島)をと市内中心部を結ぶ路線などの構想がある。今後、マカオの街づくりにおいてLRTがアクセスの主役を担うことになり、次々と持ちあがるルート案に対する市民、企業の関心も高まることだろう。
新幹線もマカオ乗り入れ計画
マカオと同じくこれまで鉄道不毛地帯だった広東省の広州市から中山、珠海に至る一帯の珠江デルタ西岸エリアでも2012年末に広珠都市間鉄道(廣珠城際鐡路、以下「広珠新幹線」)、貨物専用線の2路線が開業。「広珠新幹線」は広州市の広州南駅と珠海市の珠海駅の間で全線開通、珠海駅がマカオへの出入口となる拱北イミグレーションに隣接することから、多くの旅客が鉄道を利用してマカオを訪れることができるようになった。「広珠新幹線」はすでに珠海駅から横琴新区を経由して珠海空港までの延伸が決定しており、前項で紹介した「マカオLRT」のロータスブリッジ連絡線を利用した横琴新区からコタイ地区へのアクセスについても利便性が大幅に向上する見込み。さらに、2012年1月26日、第12回広東省人代後の記者会見で「広珠新幹線」のマカオ域内への延伸乗り入れ計画があることを明かされた。具体的な駅の設置場所や時期などの詳細内容は明らかになっていないものの、マカオから直接中国本土へ向かう長距離列車が発着することになれば、大きなインパクトとなる。広東省と香港の間では以前から乗り入れが実現しているため、実施ノウハウは蓄積されている。
もう1つ、マカオで計画されているのが準鉄道よいえる鋼索線の新路線。現在、マカオには「松山纜車」があるが、新たに計画されているのはコロアン島の石排灣郊野公園と媽祖文化村を結ぶルート。「松山纜車」と同様のロープウェイ方式が検討されている。
鉄道が拓くマカオの未来
今回の特集で紹介した通り、現在マカオ内外で鉄道建設計画が次々と発表されている。マカオの場合、潤沢なカジノ税収があることから財源は潤沢で、一気に鉄道を中心とした基幹インフラ整備が進むと予想される。環境に優しい大量輸送機関、かつ定時運行性に優れる鉄道に対する期待は大きい。近未来では「マカオLRT」第一期の開業が2015年4月にも開業を予定しているが、市民、観光客の双方によって大きな恩恵となるだろう。
(取材・文:本紙特集班―2013年2月)
【参考資料】
・「輕ZONE」01-07號(澳門特別行政區政府運輸基建辦公室)
・「公共巴士資訊站」(澳門特別行政區政府交通事務局)
・三菱重工株式会社プレスリリース第 5040号(2011年3月3日)