マカオ政府、元ドッグレース運営会社への処分手続き完了…約3.3億円の罰金納付=レース犬500頭超を遺棄
- 2019/1/10 10:41
- 社会・政治
マカオは豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノ施設ばかりが目立つが、実はその他のギャンブルも存在し、政府とコンセッション(経営権契約)を結ぶ民間事業者によって運営されている。
そのうちのひとつ、マカオ逸園カニドローム社の運営による「ドッグレース」がコンセッション満期を迎えた昨年(2018年)6月末をもって87年という長い歴史に幕を降ろした。
かつてマカオのギャンブルの花形として栄えたドッグレースだが、近年はファンの高齢化、売上の減少、施設の老朽化が進み、さらには動物愛護団体から虐待だとする指摘を受けるなど、存続が厳しい状況が続いていた。コンセッション延長申請を行うも、政府から税収、ドッグレース場周辺エリアへの経済効果、海外からの旅客の誘致につながらないことなどを理由に否決され、終了が決まったという経緯がある。
なお、政府はコンセッション満期を迎えるにあたり、2年前から里親募集による引き取り先のメドをつけるなど、レース犬の妥当な処理をするよう再三に渡って運営会社に要請してきた。しかしながら、満期後に政府が施設を接収した時点で、犬舎に500匹を超えるレース犬が残されていたことが発覚し、運営会社に対して動物愛護法に基づき責任を追求するに至った。
マカオの動物行政を管轄する市政署(IAM)は1月9日にプレスリリースを発出し、運営会社に対する動物愛護法に基づく処分手続きが完了したと発表。運営会社がレース犬1頭あたり5万マカオパタカ(日本円換算:約66万8000円)、総額およそ2500万マカオパタカ(約3億3400万円)超の罰金を納付したとのこと。このほか、残されたレース犬の継続飼育等にかかった費用としておよそ500万マカオパタカ(約6680万円)を昨年12月に支払ったという。
市政署では、現地動物愛護団体の協力を得て、残されたレース犬の里親募集を行っており、昨年10月15日から今年1月9日までに191頭の引き取り先が決まったとのこと。引き取り先は米国が180頭と最も多く、次いでマカオの6頭、イタリアの5頭だった。里親探しについては順調に進んでいるとし、今後も継続しながら今年5月末までにすべての引き取り先を確保したいとした。