19年2月のマカオの悪質タクシー違反検挙数756件…ぼったくりと乗車拒否が約9割占める
- 2019/3/8 16:02
- 社会・政治
近年、マカオでは一部の悪質なタクシードライバーによるぼったくりや乗車拒否が大きな社会問題となっている。消費者利益及び観光都市としてのイメージを著しく毀損する行為として警察と交通当局がパトロールを強化して臨んでいるものの、依然暗躍が続いている状況だ。
マカオ治安警察局は3月8日、今年(2019年)2月のタクシー及びいわゆる白タクに対する取り締まり状況を公表した。
今年2月のタクシーの違反検挙総数は前月から45.7%増、前年同月から5.6%減の756件だった。内訳はぼったくりが全体の72.6%にあたる549件、乗車拒否が同16.4%の124件で、合わせて89.0%を占めた。残る11.0%はタクシー乗り場において順番を守らず乗客を載せる行為や駐停車禁止場所での乗降などの違反。前月からの増加要因として、多客期にあたる旧正月ホリデーがあったことが挙げられる。
ちなみに、昨年通期の違反検挙総数は前年から11.6%増となる6126件。内訳はぼったくりが20.9%増の3846件、乗車拒否が15.1%減の1336件で、検挙数全体の84.6%を占めた。
なお、実際には泣き寝入りなどもあるとみられ、統計に表れない悪質タクシーによる被害が相当数あると予想される。
マカオは面積約30平方キロメートルの小さな街だが、人口約66万人、年間訪マカオ外客数は約3250万人であるのに対し、タクシー総数は約1600台にとどまっており、需要に追いついていないとの見方もある。
現行法ではぼったくりや乗車拒否といった違反についてのドライバーへのペナルティが1000マカオパタカ(日本円換算:約1万3730円)の罰金のみという極めて甘い内容であることも指摘されており、政府が法改正の準備を進めてきた。5年以内に4回のぼったくりや乗車拒否といった重大違法行為で検挙されたドライバーのライセンスを取り消しとし、向こう3年間は再試験を受けさせないこと、違反に対する罰金を最大3万パタカ(約41万円)に引き上げること、全車両にGPSおよび録音設備を導入することなどを盛り込んだ改正法が3月4日に公布され、90日後に施行される。このほか、昨年6月末には24時間体制で警察官が応対する悪質タクシー通報ホットラインが開設。同年11月に発表した2019年度施政方針では、タクシー供給台数を約2000台にまで増やす方向も示されるなど、悪質タクシー対策も整いつつあり、駆逐に期待がかかる。
また、今年2月の白タクの検挙総数は26件だった。マカオでは2015年10月に世界各地でスマートフォン向け配車サービスを展開する「Uber(ウーバー)」がサービスを開始したが、警察及び交通事務局が白タクにあたるとの見解を示して取り締まりの対象としていた。その後、Uberは2017年7月21日をもってマカオでのサービス提供を停止し、白タク検挙件数も激減した。