マカオドッグレースの退役レース犬、全頭の里親決まる
- 2019/3/27 20:02
- 社会・政治
マカオは豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノ施設ばかりが目立つが、実はその他のギャンブルも存在し、政府とコンセッション(経営権契約)を結ぶ民間事業者によって運営されている。
そのうちのひとつ、マカオ逸園カニドローム社の運営による「ドッグレース」がコンセッション満期を迎えた昨年(2018年)6月末をもって87年という長い歴史に幕を降ろした。
かつてマカオのギャンブルの花形として栄えたドッグレースだが、近年はファンの高齢化、売上の減少、施設の老朽化が進み、さらには動物愛護団体から虐待だとする指摘を受けるなど、存続が厳しい状況が続いていた。コンセッション延長申請を行うも、政府から税収、ドッグレース場周辺エリアへの経済効果、海外からの旅客の誘致につながらないことなどを理由に否決され、終了が決まったという経緯がある。
なお、政府はコンセッション満期を迎えるにあたり、2年前から里親募集による引き取り先のメドをつけるなど、レース犬の妥当な処理をするよう再三に渡って運営会社に要請してきた。しかしながら、満期後に政府が施設を接収した時点で、犬舎に500匹を超えるレース犬が残されていた。
マカオ市政署(IAM)では、現地動物愛護団体の協力を得て、残されたレース犬の飼育とともに、昨年9月から里親の募集を続けてきた。IAMが3月26日に発表したプレスリリースによれば、全頭の引き取り先が決まり、同日最後の6頭がマカオを出発したとのこと。引き取り先は米国が307頭と最も多く、英国の70頭、イタリアの60頭、マカオの34頭、香港の26頭、フランスの23頭、ドイツの5頭などという。IAMでは、レース犬の飼育、引き取り先への搬送にかかる費用について、動物愛護法の規定に基づき、ドッグレース運営会社に負担させるとした。
最後のレース犬6頭がドッグレース場を出発した後、ドッグレース場の土地はマカオ政府財政局に引き渡された。ドッグレース場の跡地には学校などが建設される予定。