マカオで改正タクシー法施行…罰金値上げや違反累積での免許取消など罰則強化で悪質タクシー駆逐に期待
- 2019/6/3 8:19
- 社会・政治
近年、マカオでは一部の悪質なタクシードライバーによるぼったくりや乗車拒否が大きな社会問題となっている。消費者利益及び観光都市としてのイメージを著しく毀損する行為として警察と交通当局がパトロールを強化して臨んでいるものの、依然暗躍が続いている状況だ。
昨年(2018年)通期の違反検挙総数は前年から11.6%増となる6126件。内訳はぼったくりが20.9%増の3846件、乗車拒否が15.1%減の1336件で、検挙数全体の84.6%を占めた。実際には泣き寝入りなどもあるとみられ、統計に表れない悪質タクシーによる被害が相当数あると予想される。
悪質タクシー暗躍の背景として、マカオは面積約30平方キロメートルの小さな街だが、人口約65万人、年間訪マカオ外客数は約3250万人であるのに対し、タクシー総数は約1600台にとどまっており、需要に追いついていないとの見方もある。これについては、昨年11月に発表した2019年度施政方針でタクシー供給台数を約2000台にまで増やす方向が示されている。
また、これまでぼったくりや乗車拒否といった違反についてのドライバーへのペナルティが1000マカオパタカ(日本円換算:約1万3400円)の罰金のみという極めて甘い内容であったことも悪質タクシーが暗躍を続ける要因のひとつと指摘されており、政府が法改正の準備を進めてきた。
いよいよ、改正タクシー法がきょう(6月3日)から施行される。改正法のポイントとして、5年以内に4回のぼったくりや乗車拒否といった重大違法行為で検挙されたドライバーの営業許可証を取消とし、向こう3年間は再試験を受けさせないこと、違反に対する罰金を最大3万パタカ(約40万1900円)に引き上げること、施行から18ヶ月以内に全車両にGPS及び録音・録画装置を設置導入すること、タクシーの監察機関が政府交通事務局(DSAT)単独から治安警察局を加えた体制になることなどが挙げられる。
今回の改正法施行によって、マカオ名物とも揶揄される悪質タクシーの駆逐に期待がかかる。