マカオの世界遺産・聖ポール天主堂跡にインド人観光客操縦のドローン接触…当局調査で文化財の破損なしと確認
- 2019/6/5 20:19
- 社会・政治
マカオ政府文化局(ICM)は6月5日、同日午後4時頃、マカオ半島の歴史市街地区にある世界遺産・聖ポール天主堂跡にドローンが接触する事故があったと発表。
外注先の警備会社のスタッフがドローンがファサードの下から二段目の中央付近に接触する様子を目撃し、すぐに近くにいた警察官に通報したという。文化局のスタッフが現場に駆けつけ、文化財の検査を実施した結果、破損箇所は見受けられず、けが人もいなかったとした。ICMでは、航空関連法を所管する民航局にも報告済みとのこと。
また、マカオ治安警察局によれば、ドローンを操縦していたのはインド人の男性観光客(35)で、ドローン使用申請は未提出だったほか、機体に識別標識も貼付されていなかったという。男性を警察署へ同行させ、詳しい調査を行っているとした。
マカオでドローンを利用する際には航空関連法の規定を遵守する必要がある。また、世界遺産建築物は文化遺産保護法の対象となっている。今年(2019年)1月にも聖ポール天主堂跡にドローンが接触する事故が発生しており、これをきっかけにドローン使用禁止を周知するためのサイネージが設置されれた。ICMでは、今回の事件を受け、市民及び観光客に対して貴重な文化遺産を大切に扱うようあらためて呼びかけを行い、今後も文化遺産保護への理解を促すため、様々な方法で啓蒙活動を続けていくとした。
聖ポール天主堂跡は17世紀にカトリック・イエズス会が建てた聖母教会及び聖ポール大学のあった場所にあたり、1835年の大火により前壁及び石段の一部を残して焼失し、現在の姿となった。建設作業には日本人キリシタンが関わったと伝えられている。ファサードには幼きイエス像、マリア像、イエズス会のフランシスコ・ザビエルら聖人の像など青銅像が設置されている。