マカオ、19年11月のカジノ売上対前年8.5%減の約3114億円…2ヶ月連続マイナス=1〜10月累計2.4%減の約3兆6702億円、通期で3年ぶり前年割れの公算

 マカオ政府博彩監察協調局は12月1日、今年(2019年)11月のマカオの月次カジノ売上について、前年同月から8.5%減、前月から13.5%減となる228.77億マカオパタカ(日本円換算:約3114億円)だったとする最新統計を公表した。

 前月からの減少要因については、カレンダー上の営業日が1日少ないこと(10月は31日間、11月は30日間)に加え、10月初旬には中国本土の大型連休となる国慶節があったことなどが挙げられる。10月のカジノ売上は今年に入って以降の最高値だった。また、例年11月のカジノ売上はマカオグランプリが開催期間前後にかけて落ち込む傾向にある。加えて、今年は香港情勢の深刻化に伴うインバウンド旅客減という特殊要因もあった。

 マカオの月次カジノ売上は2014年6月から2016年7月まで26ヶ月連続で前年割れだったが、2016年8月から2018年12月まで29ヶ月連続で対前年プラスを維持。その後、今年に入って以降は1、3、4、7、8、10、11月がマイナス、2、5、6、9月がプラスとなっている。

 今年1〜11月累計のカジノ売上は前年の同じ時期から2.4%減の2696.17億マカオパタカ(約3兆6702億円)で、マイナス幅は前月から0.6ポイント拡大した。

 今年1月1日からカジノフロア内の全面禁煙化が実施され、これまでハイローラーと呼ばれる大口ギャンブラーを対象としたVIPルームは分煙だったが、今年に入って以降は所定の喫煙ルーム内のみで喫煙が認められるかたちとなり、プレイしながら喫煙することが不可能となった。これによって、一部のギャンブラーがマカオ以外に流出した可能性があるとし、カジノ売上の停滞と因果関係を指摘する見方もある。また、マカオパタカは香港ドルを通じて米ドルと為替連動しているが、対ドルの人民元安も進んでいる。

 なお、2018年通期のカジノ売上は対前年14.0%増の3028.46億マカオパタカ(約4兆1225億円)。2年連続の対前年プラスで、4年ぶりに3000億パタカの大台を回復した。今年も残り1ヶ月となったが、前年実績を上回るには12月単月で332.29億パタカ(約4523億円)以上が必要だ。昨今の市況を考慮すると、今年通期では3年ぶりに前年割れとなり、3000億パタカの大台も下回る公算。

 マカオの年間カジノ売上は21世紀に入って以降、2013年まで右肩上がりに上昇。ピークにあたる2013年の売上は3607.49億マカオパタカ(約4兆9107億円)だった。対前年4年ぶりのプラスに転じた2017年の売上は2011年と、2018年については2012年とそれぞれほぼ同水準。

カジノのイメージ(資料)—本紙撮影

カジノのイメージ(資料)—本紙撮影

【資料1】2019年のマカオの月次カジノ売上の推移(カッコ内は前年比)
・1月:249.42億マカオパタカ=約3395億円(5.0%減)
・2月:253.70億マカオパタカ=約3454億円(4.4%増)
・3月:258.40億マカオパタカ=約3517億円(0.4%減)
・4月:235.88億マカオパタカ=約3211億円(8.3%減)
・5月:259.52億マカオパタカ=約3533億円(1.8%増)
・6月:238.12億マカオパタカ=約3241億円(5.9%増)
・7月:244.53億マカオパタカ=約3329億円(3.5%減)
・8月:242.62億マカオパタカ=約3303億円(8.6%減)
・9月:220.79億マカオパタカ=約3006億円(0.6%増)
・10月:264.43億マカオパタカ=約3600億円(3.2%減)
・11月:228.77億マカオパタカ=約3114億円(8.5%減)
>1〜11月累計:2696.17億パタカ=約3兆6702億円(2.4%減)

【資料2】2013年〜2018年のマカオの年間カジノ売上の推移(カッコ内は前年比)
・2013年:3607.49億マカオパタカ=約4兆9107億円(18.6%増)
・2014年:3515.21億マカオパタカ=約4兆7851億円(2.6%減)
・2015年:2308.40億マカオパタカ=約3兆1423億円(34.3%減)
・2016年:2232.10億マカオパタカ=約3兆0385億円(3.3%減)
・2017年:2657.43億マカオパタカ=約3兆6174億円(19.1%増)
・2018年:3028.46億マカオパタカ=約4兆1225億円(14.0%増)

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