マカオ、食肉処理場から牛が脱走して市街地を駆け回る…麻酔使い捕獲>売り物にならず>マカオ政府が引き取り飼育へ
- 2019/12/4 19:59
- 社会・政治
12月4日午前10時頃、マカオ半島北部の青洲地区にある食肉処理場から牛1頭が脱走し、市街地を駆け回る事件が発生。この牛を所有する会社のスタッフのほか、警察、消防、動物行政を管轄する政府市政署(IAM)所属の獣医が出動して対応にあたり、最終的に捕獲することに成功したが、牛の運命は大きく変わる結果となった。
捕獲作戦は、まず公衆を巻き込む危険性を除去するため、道路から空き地へ追い込むところからスタート。その後、獣医が複数回にわたって麻酔を注射し、落ち着くのを待ってから縄で縛って捕獲し、食肉処理場へ連れ帰ったという。
牛の運命が大きく変わったのはここから。事件が一段落した後、牛の所有者は麻酔注射をした牛について、安全性を考慮して食用として流通させない方針であることをIAMに伝達。所有者とIAMが協議を行った結果、動物愛護的配慮として、この牛をIAMが引き取ることでまとまったという。IAMによれば、しばらくの間は食肉処理場で飼育するが、準備が整い次第、市民と触れ合えるような適切な場所へ移す予定とのこと。
なお、牛は柵を乗り越えて脱走したといい、IAMは食肉処理場の運営会社に対して再発防止を徹底するよう要請したという。
IAMでは、牛が市街地を逃走中に、複数の自動車と接触した可能性があることについて、保険会社による賠償の対象となるかを審査する必要があるとし、被害を受けた可能性のある自動車の所有右車に対して、写真等の資料を添えて市政署に申し立てを行うよう呼びかけた。
この牛は、マカオの特産品になる予定だったという。牛を使った特産品といえば、ビーフジャーキーが有名だ。
実は、マカオではおよそ30年前にも同様のケースが存在した。マカオ半島の福隆新街にあったレストランの中の小さな檻で飼われていた当時1歳のツキノワグマが市政庁(IAMの前身)によって救出され、公園で飼育・展示されることに。このツキノワグマはBOBOと名付けられ、昨年11月に老衰で亡くなるまで、長年にわたって市民に愛された。