マカオ、36日連続新型コロナ新規感染確認なし…入院患者もゼロ=欧州からの輸入例に警戒、湖北省除く中国本土は状況好転との見方
- 2020/3/12 9:37
- 社会・政治
中国・湖北省武漢市で集中発生している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について、世界各地で感染拡大に対する懸念が高まる中、中国本土からのインバウンド旅客が多いマカオでも、官民の間で各種防疫対策が進んでいる。
マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターは3月11日午後5時(現地時間、以下同)から定例記者会見を開催。同センターによれば、直近24時間以内に新たな新型コロナウイルス感染確認例はなかったとのこと。マカオにおける直近の新規感染確認は2月4日のことで、36日連続で新規感染確認ゼロとなった。
これまでのマカオ域内における累計患者数は10人で、最初の7人が武漢からの旅客、その後の3人がマカオ人。3月6日までに全員が治癒し退院済みで、以降マカオ域内における入院患者ゼロ状態が5日間続いている。重症化、死亡、院内感染例はいずれもなかった。
なお、武漢からの旅客は退院後すぐに専用車両で中国本土へ戻り、マカオ人については再発症リスクを考慮して自宅へは戻さず、隔離施設へ移送して14日間の経過観察が行われ、その後は14日間の自宅待機となる。
目下、マカオで隔離、医学観察下に置かれている人のうち、高リスクとされる人の状況については、3月7日にチャーター機で武漢市を含む湖北省から帰還した57人がマカオ到着後の新型コロナウイルス核酸検査(NAT=Nucleic Acid Test)で全員陰性、発熱や呼吸器系の症状がある人もいないとのこと。近日スペインから戻ったマカオ人夫婦が10日に発熱と軽微な咳の症状があったが、一度目の検査で陰性、先に香港で感染が確認されたエジプトツアーの参加者らと同じフライトに搭乗していた(座席は3列違い)ことが判明したマカオ人の夫婦は発熱と呼吸器系の症状があったが、二度の検査でいずれも陰性だったという。
現在、韓国、イタリア、イラン、ドイツ、フランス、スペイン、日本のいずれかに14日以内に滞在歴がある全入境者に対し、マカオ政府が指定する隔離場所で14日間の医学観察(マカオ政府または衛生局によるその他防疫措置を講じる可能性も含む)を義務付ける措置が講じられている。マカオ居民(「マカオ居民IDカード」保有者)は政府が定めた条件を満たす場合に限って自宅での医学観察も認められるが、その他(旅客及び就労ビザ保有者など)についてはマカオ政府が指定するホテルとなり、滞在費用は自己負担となる。
また、14日以内に中国本土の「広東省、河南省、浙江省、湖南省、安徽省、江西省、江蘇省、重慶市、山東省、四川省、黒龍江省、北京市、上海市」のいずれかに滞在した旅客が医学検査ステーションにおける医学検査の対象。12日正午からは新たにノルウェーを加えることが発表された。イミグレーション施設から市内に設けられた医学検査ステーションに移送され、医学検査を経て入境可否が判断されることになる。検査にかかる時間は約6〜8時間で、検査忌避はできない。武漢市含む湖北省については、1月27日から合法医療機関が発行した医師による新型コロナウイルス未感染証明書の提出が必須化されている。
同センターでは、近日の欧州において流行が拡大している状況、中国本土や香港で欧州からの輸入例が相次ぎ確認されている状況を考慮し、欧州を中心とした検疫(医学観察及び医学検査)の対象国リストの更新を検討しているとした。一方、中国本土では湖北省を除き、多くの省市で域内の新規感染確認ゼロ(輸入例のみ)が続き、流行終息の兆しが見えてきたとし、中国本土からの入境者を対象とした検疫について緩和の方向で見直す方向とした。
マカオ政府は1月後半以降、一連の春節祝賀イベントやMICEイベントの中止、世界遺産含む文化施設の一時休館、カジノ及びレジャー・娯楽施設の一時休業(カジノは2月5日から19日まで、レジャー・娯楽施設は同日から3月1日まで)といった観光都市としての魅力をあえて消すと同時に、中国本土及び他の高発生地区との往来を物理的に制限すること、マカオ住民に対しても全学校の休校(継続中)や政府窓口の一時休止(3月2日から段階的に解除)を含む不要不急の外出を控えさせる策などを講じることで、これまでのところ流行阻止に成功している。一方で、入境制限を含む厳格な防疫対策を堅持されており、インバウンド旅客は激減したままだ。アジア有数の観光都市とあり、経済的打撃は大きく、試練の日々が続く。今回、湖北省を除く中国本土からの入境者に対する検疫緩和検討に言及があったことで、インバウンド旅客の回帰につながる可能性もある。