マカオLRTタイパ線、1日あたり乗客数わずか1100人に…開業3ヶ月目の2月、ピークの初月から97%減=新型コロナの影響甚大

 マカオ初となる本格的な軌道系大量輸送機関(鉄道)として、マカオLRT(Light Rapid Transit)が昨年(2019年)12月10日に営業運転を開始。すでに開業4ヶ月目を迎えているが、利用状況は芳しくないようだ。

 タイパ線はマカオLRT第1期プロジェクトの一部で、タイパフェリーターミナル駅と海洋駅の間の9.3キロ、11駅の区間が開業済み。沿線には香港や広東省主要都市との間を結ぶ高速船が発着するタイパフェリーターミナル、マカオ国際空港、広東省珠海市の横琴新区との陸路のボーダーにあたるコタイ・イミグレーションといった陸海空の玄関口のほか、大型カジノIR(統合型リゾート)が密集するコタイ地区、著名観光地のタイパヴィレッジ、高層マンションが建ち並ぶ新興住宅街が存在する。

 運営会社のマカオLRT社は3月25日、開業後3ヶ月(2019年12月〜2020年2月)の乗客数データを公表した。1日あたり平均乗客数(延べ、以下同)は開業初月の12月が3万3000人、1月が1万6000人、2月は1100人で、3ヶ月で実に96.7%減という結果に。マカオ政府は開業を前に1日あたり平均乗客数を約2万人としていた。

 1月以降に乗客数が大きく減少した理由として、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に伴う入境制限を含む防疫措置が1月後半から本格的に講じられ、その後も現在に至るまで厳格化が進んでいることが挙げられる。2月に入って以降はカジノ施設の15日間にわたる休業もあった。2月のインバウンド旅客数は前年同月から95.6%減となっており、陸海空の玄関口と大型カジノIR集積地区などを結ぶインバウンド旅客が多く見込まれる路線とあって、甚大な影響が及んだといえる。このほか、開業日から続いていた運賃無料キャンペーンが1月末日で終了した。2月3日以降、ダイヤ調整(間引き運転)が実施されている。

 マカオLRTは三菱重工グループの三菱重工エンジニアリング社の全自動無人運転車両システム(Automated Guideway Transit=AGT)を採用。同社がAGTシステムとして、東京の「ゆりかもめ」と同タイプのクリスタルムーバー型AGT車両(110両)、信号・列車制御設備、供電設備、通信システム、軌道、メンテナンス設備、ホームドア、料金機械を手掛けた。また、開業後5年間にわたる車両のオーバーホールメンテナンスも担当し、マカオLRTの安定運行をサポートすることになっている。AGTシステムは、電力駆動により完全自動走行する新交通システムで、ゴムタイヤ方式を採用しているため走行が滑らかかつ低騒音であるのが特徴。

マカオLRTタイパ線の起点となるタイパフェリーターミナル駅に停車中の列車=2019年12月10日本紙撮影

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