マカオで31人目の新型コロナ感染確認…患者は米国からの帰国者、入境時に発熱=中国以外からの輸入症例相次ぐ
- 2020/3/26 9:45
- 社会・政治
マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターは3月26日未明(現地時間、以下同)にかけて、新たに1人(第31例)の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染者を確認したと発表。
第31例の患者はマカオ居民(「マカオIDカード」保有者)の男性(27)で、米国ニューヨークからキャセイパシフィック航空を利用して3月25日に香港国際空港へ到着。その後、マカオ政府が用意した同空港の制限エリアから香港へ入境せずマカオへ戻る特別車を利用。発熱していたため、指定医療機関にあたる伯爵綜合醫院(通称:山頂醫院)の特別救急室へ直接搬送され、新型コロナウイルス核酸検査(NAT=Nucleic Acid Test)を実施。26日未明に結果が陽性とわかり、感染確認に至ったもの。
マカオにおける新型コロナの感染確認は3月15日まで40日連続でゼロだったが、以降は21人に上り、累計31人となった。初期の患者10人は武漢からの旅客7人とマカオ居民3人で、3月6日までに全員が治癒し退院済みで、重症化、死亡、院内感染例はいずれもなかった。今月中旬以降に確認された患者21人については、すべて中国以外の外国からの輸入症例。
今月中旬以降に確認された患者の内訳は、第11例=ポルトガル帰りの韓国人女性(26、就労ビザ)、第12例=スペインからビジネス目的で来訪のスペイン人男性(47、旅客)、第13例=留学先の英国帰りのマカオ居民女性(20)、第14例=インドネシア帰りのインドネシア人女性(42、就労ビザ)、第15例=フィリピン帰りのフィリピン人男性(31、就労ビザ)、第16例=留学先の英国帰りのマカオ居民女性(19)、第17例=インドネシア帰りのインドネシア人男性(11、第14例の子)、第18例=米国帰りのマカオ居民女性(50)、第19例=留学先の米国帰り(直前にメキシコ訪問歴有)のマカオ居民男性(19、第18例の子)、第20例=留学先の英国帰りのポルトガル籍マカオ居民男性(20)、第21例=留学先の英国帰りのマカオ居民女性(19)、第22例=アイルランド帰りのマカオ居民男性(44)、第23例=留学先の英国帰りのマカオ居民男性(12)、第24例=留学先の英国帰りのマカオ居民男性(21)、第25例=インドネシア帰りのインドネシア人男性(41、就労ビザ、第14例の夫)、第26例=留学先の英国帰りのマカオ居民女性(17)、第27例=英国帰りのマカオ居民男性(28)、第28例=留学先の英国帰りのマカオ居民男性(18)、第29例=留学先の英国帰り(途中香港に1週間滞在)のマカオ居民女性(15)、第30例=米国、英国を経てマカオを訪れていたオーストラリア人男性旅客(52)、第31例=米ニューヨーク帰りのマカオ居民男性(27)。目下、21人は指定医療機関となる仁伯爵綜合醫院あるいはコロアン島の公共衛生臨床センターの陰圧病室で入院治療を受けており、いずれも軽症とのこと。
世界的に流行が拡大する中、政府が輸入例に対する警戒を強めており、3月中旬以降、水際対策の強化が進んでいる。25日からは、1)マカオ居民:入境可能だが、過去14日以内に外国、香港、台湾滞在歴がある場合、政府指定場所における14日間の隔離検疫の対象。2)外国人:入境禁止。3)中国本土・香港・台湾居民:過去14日以内に外国滞在歴がある場合は入境禁止。4)中国本土・香港・台湾居民:過去14日以内に香港または台湾滞在歴がある場合は入境可能だが政府指定場所における14日間の隔離検疫の対象。5)中国本土・香港・台湾居民:過去14日以内に外国、香港、台湾の滞在歴がない場合は入境可だが高流行エリア(広東省、河南省、浙江省、重慶市、北京市、上海市)からの入境については医学検査ステーションにおいて医学検査を受けることが必須。6)過去14日以内に湖北省に滞在した非マカオ居民または中国本土籍のブルーカード保有者は入境にあたって新型コロナウイルス未感染証明書の提出が必須となり、「ほぼボーダー封鎖」ともいえる厳格な措置が講じられている。上記のほか、マカオ国際空港におけるトランジット(乗り継ぎ)サービスも中止になった。
なお、輸入症例が相次ぐ中だが、水際対策の強化によってマカオ到着時のイミグレーション施設における検温や隔離検疫中の検査をきっかけに医療機関へ搬送されるケースがほとんどで、これまでのところ市中感染例は報告されていない。
政府新型コロナウイルス感染症対策センターが25日午後5時から開催した定例記者会見によれば、海外からの帰国者が増える中、政府指定場所での隔離下における医学観察を受けている人の数は2397人(自宅が636人、指定ホテルが1718人)の上るとのこと。近日、外出したり、虚偽の住所を報告するなどの違反事例が複数報告されており、すでに5人が検挙され、強制措置が講じられたという。記者会見に登壇した警察広報官は、政府指定場所での隔離下における医学観察は伝染病予防法に則った措置で、違反した場合には刑事責任を負い、最高量刑は禁錮6ヶ月または60日分の罰金となっているとし、対象者に対して法令遵守を呼びかけた。なお、現在は隔離場所として自宅を使うことはできなくなり、指定ホテルに限定されている。指定ホテルの数は次々と増えており、これまで9軒、およそ2000室分となっている。