マカオ政府、新型コロナ隔離検疫用にIR併設大型ホテル「シェラトン」借り上げ…既存施設と合わせ12軒4500室規模に、帰国者増に対応
- 2020/3/28 10:05
- 社会・政治
中国・湖北省武漢市での集中発生に端を発した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について、世界各地で感染が拡大する中、国際観光都市マカオでも、状況の変化に応じた各種防疫対策が講じられている。3月中旬以降、マカオ政府は輸入症例に対する警戒を強めており、水際対策の強化が進んでいる。
3月25日からは、1)マカオ居民(マカオ居民IDカード保有者):入境可能だが、過去14日以内に外国、香港、台湾滞在歴がある場合、政府指定場所における14日間の隔離検疫の対象。2)外国人:入境禁止。3)中国本土・香港・台湾居民:過去14日以内に外国滞在歴がある場合は入境禁止。4)中国本土・香港・台湾居民:過去14日以内に香港または台湾滞在歴がある場合は入境可能だが政府指定場所における14日間の隔離検疫の対象。5)中国本土・香港・台湾居民:過去14日以内に外国、香港、台湾の滞在歴がない場合は入境可だが高流行エリア(広東省、河南省、浙江省、重慶市、北京市、上海市)からの入境については医学検査ステーションにおいて医学検査を受けることが必須。6)過去14日以内に湖北省に滞在した非マカオ居民または中国本土籍のブルーカード(マカオで就労許可(就労ビザ)を得た者に発給される身分証)保有者は入境にあたって新型コロナウイルス未感染証明書の提出が必須となり、「ほぼボーダー封鎖」ともいえる厳格な措置が講じられている。
政府指定場所での隔離下における14日間の医学観察措置(隔離検疫)について、3月19日までは中リスクの国・地域からの入境者で、間取りなど一定の条件を満たした場合に自宅も可としていたが、中リスクとされる地域においても状況が悪化していることを踏まえ、同日以降は指定ホテルに一本化することとなった。
隔離下で医学観察を実施する指定ホテルは政府が借り上げたもので、近日外国からマカオへ戻る人が増える中、指定ホテルの選定が続いている。政府旅遊局は3月28日朝、同日から新たにコタイ地区の大型IR(統合型リゾート)サンズコタイセントラルに併設する「シェラトングランド・マカオ,コタイストリップ」(5つ星)の一部(2000室分)を追加したと発表。これまでは中小規模のホテルが中心で、IR併設ホテルが選定されるのは今回が初めてのこと。同ホテルは2つの高層タワーで構成され、マカオ最大規模の客室数(約4000室)を誇る。今回、このうちの1つのタワーが隔離ゾーンとなり、2000室のうち500室から運用を開始し、状況に応じて調整を行うとした。なお、隔離ゾーンとリゾート内のショッピングモール、レストラン、他のホテルとの通路については完全に閉鎖されるとし、隔離対象となる人は専用の独立した出入口を使用することになっているとのこと。
指定ホテルは1月30日から使われているコタイ地区の「ポウサダ・マリーナ・インファンテ」(4つ星、298室)のほか、17日からマカオ国際空港に隣接する「ゴールデン・クラウン・チャイナ」(4つ星、300室)、19日からタイパ島の「リージェンシー・アート・ホテル」(5つ星、326室)、20日からコロアン島の「グランド・コロアン・リゾート」(5つ星、208室)、21日からマカオ半島のビジネス街にある「メトロポール・ホテル」(3つ星、112室)、「トレジャー・ホテル」(3つ星、400室 *未開業)、「サントンフォン・コマーシャル・イン・サウスウイング」(2星、89室)、23日から「グランド・ラパ」(5つ星、435室)、25日から「グランド・ハーバー・ホテル」(3つ星、90室)、26日から「ロイヤル・ドラゴン・ホテル」(3つ星、144室)、27日から「ハイアライ・ホテル」(2つ星、132室)と相次ぎ追加され、計12軒、客室数にしておよそ4500室となった。今後もしばらくの間、外国からの帰還続くと予想される。
政府新型コロナウイルス感染症対策センターが27日午後5時から開催した定例記者会見によれば、政府指定場所での隔離下における医学観察を受けている人の数は2753人(自宅が584人、指定ホテルが2123人)の上るとのこと。
本稿執筆時点(3月28日午前9時40分)のマカオにおける累計患者数(感染確認)は35人。2月4日までに武漢からの旅客が7人、マカオ人が3人の感染が確認されて以降、40日間にわたって新規感染確認ゼロが続いたが、以降は中国以外からの輸入症例が25例相次いでいる。2月4日以前の感染確認者については、3月6日までに全員が治癒し退院済み。目下、25人が指定医療機関となる仁伯爵綜合醫院あるいはコロアン島の公共衛生臨床センターの陰圧病室で入院治療を受けている。