マカオのカジノ運営6社キャッシュフロー潤沢…売上ゼロでも1〜6年程度持続可能=大手金融機関見込み

 マカオ政府は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)防疫対策のため、1月下旬から水際対策を次々と強化して臨んでいる。これに伴い、インバウンド旅客数は激減。マカオ経済の屋台骨となるカジノ業界についても、大きなマイナス影響が及んでいる。

 今年1〜3月累計のカジノ売上(Gross Gaming Revenue=GGR)は前年同時期から60.0%減の304.86億マカオパタカ(日本円換算:約4161億円)にとどまった。このうち、15日間の閉鎖があった2月は87.8%減、水際対策が一層強化された3月は79.7%減。1日当たり平均売上は2月よりも3月の方が少なくなっている。厳格な水際対策は4月に入って以降も継続中で、しばらくの間、状況は変わらないものとみられる。

 大手金融機関のJPモルガン・チェースが4月6日に発出したレポートの中で、仮にマカオのカジノ売上がゼロになったとしても、マカオのカジノ運営6社のキャッシュフローは潤沢で、1〜6年程度持続可能であるとの見込みを示した。

 レポートによれば、6社の昨年(2019年)末におけるキャッシュフローは、サンズ・チャイナが45億米ドル(約4895億円)、ギャラクシー・エンターテインメントが68億米ドル(約7396億円)、ウィン・マカオが22億米ドル(約2393億円)、メルコ・リゾーツが27億米ドル(約2937億円)、SJMが33億米ドル(約3589億円)、MGMチャイナが10億米ドル(約1088億円)に上るとのこと。各陣営の現金消費状況に応じたゼロ収入下での持続可能年数はギャラクシー・エンターテインメントが6.3年、SJMが4.1年、サンズ・チャイナが2.1年、ウィン・マカオが1.7年、メルコ・リゾーツが2年、MGMチャイナが1.3年とした。

 同行の見込みでは、マカオのゲーミング(カジノ)業界がEBITDAバランスを達成するために必要な1日あたり平均カジノ売上は3.05億マカオパタカ(約41.63億円)以上、キャッシュフローバランスを達成する場合には昨年実績のおよそ半分にあたる同3.95億マカオパタカ(約53.92億円)以上が必要になるという。

 なお、同行が6社のマネジメント層から提供を受けた資料をベースに試算した1日あたりの営業費用は、サンズ・チャイナが440万米ドル(約4.79億円)、ギャラクシー・エンターテインメントが300万米ドル(約3.26億円)、ウィン・マカオとメルコ・リゾーツがそれぞれ250万米ドル(約2.72億円)、SJMが190万米ドル(約2.07億円)、MGMチャイナが150万米ドル(約1.63億円)とのこと。

 香港証券取引所に上場する6社の株価は4月6日に前日比で1.9〜4.5%上昇した。

カジノのイメージ(資料)—本紙撮影

カジノのイメージ(資料)—本紙撮影

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