マカオ政府、9回目の市民向けマスク有償配給スタート…10日分10枚で約110円、累計販売枚数4630万枚

 中国・湖北省武漢市での集中発生に端を発した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について、世界各地で感染が拡大する中、国際観光都市マカオでも、状況の変化に応じた各種防疫対策が講じられている。

 マカオでは、政府が防疫対策の一環として今年1月下旬からマスクの着用を呼びかけている。公共交通機関をはじめ、役所、銀行、小売店、飲食店など、利用にあたってマスク着用を必須とするところがほとんど。マカオの街では、マスクを着用していない人を見かけるのは非常に稀となっている。

 マカオ政府は1月下旬にマスク着用を呼びかけると同時に、まず政府が抱える在庫の放出と世界各地からの調達を通じて2000万枚を確保した上、すべての市民が1人1日1枚のマスクを確実に入手できるよう有償配給制度を立ち上げた。その後もマスクの調達は続けられているという。

 マスクの有償配給はマカオ市民(マカオ居民IDカード保有者と就労ビザ保有者)を対象とし、1人あたり10枚1組を政府が定めた原価とされる8マカオパタカ(日本円換算:約110円)で公立クリニックや薬局等の特設窓口で販売するもの。これまで10日おきに8回実施された。

 マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターは4月11日、第9回のマスク有償配給を12日から10日間にわたって実施すると発表。割当枚数と売値は前回までと同様とした。同センターによれば、第8回の配給枚数は約600万枚、第1回から8回までの累計配給枚数は約4630万枚に上ったとのこと。

 李偉農(レイ・ワイノン)マカオ経済財政長官は3月26日のマカオ立法会で、(その時点で)マスクの有償配給を第10回(4月末頃)まで実施できる見通しであることを明らかにしている。第11回目以降の実施の有無については、今後の流行状況やマスクの調達状況次第となりそうだ。

マカオ政府が市民向けに有償配給するマスクの仕分け作業の様子=2020年4月1日(写真:DSEJ)

 マカオでは1月下旬から入境制限を含む厳格な防疫対策が講じられている。これによってインバウンド旅客数は激減し、経済的に大きな打撃を受けている。マカオ政府では、マスクの有償配給のほか、大規模な居民及び企業(主に中小企業)向けの経済支援策も矢継ぎ早に打ち出している。居民(マカオ居民IDカード保有者)向けでは、現金配布(1人あたり約14万円)及び電子商品券の配布(1人あたり2回合計約11万円分)、家庭用公共料金(電気・水道)3ヶ月間全額補助、所得税減税などがあり、幅広い層が恩恵を受ける。

 本稿執筆時点(4月12日午前10時)のマカオにおける累計患者数(感染確認)は45人。3月15日まで40日連続新規感染確認ゼロを記録したが、以降は外国からの帰国ラッシュもあり35人増えた。初期の患者10人は武漢からの旅客7人とマカオ居民(「マカオIDカード」保有者)3人で、3月6日までに全員が治癒し退院済み。3月中旬以降に確認された患者35人については、すべて中国以外の外国からの輸入症例となっている。また、これまで市中感染例はない。目下、35人は指定医療機関となる仁伯爵綜合醫院あるいはコロアン島の公共衛生臨床センターの陰圧病室で入院治療を受けており、1人が重症、その他は軽症とのこと。4月9日以降は新規感染確認ゼロが続いている。

4月11日夕方に開催されたマカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターによる定例記者会見(写真:マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センター)

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