マカオ、3月のホテル客室稼働率23.2%…対前年67.6pt下落…新型コロナ防疫対策の影響でインバウンド旅客激減

 マカオは人口約68万人、面積約32平方キロという小さな街だが、世界遺産やカジノを核とした大型IR(統合型リゾート)に加え、マカオグランプリをはじめとした大規模イベントが数多く開催されるアジア有数の国際観光都市として知られる。

 マカオ政府統計調査局発表資料によれば昨年(2019年)通期の訪マカオ外客数(インバウンド旅客数)は前年から10.1%増の延べ(以下同)3940万6181人で、3000万人の大台を6年連続突破するとともに、3年連続で最多記録を更新。しかしながら、今年(2020年)1月下旬から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への防疫対策が強化されたことを受け、インバウンド旅客数が激減。3月のインバウンド旅客数は前年同月から93.7%減の21万2311人、このうち宿泊を伴う旅客は92.0%減の12万5896人にとどまった。

 マカオ政府統計調査局は4月29日、今年3月のホテル宿泊客関連統計を公表。同月の平均ホテル客室稼働率(新型コロナの影響で一時休業中及び隔離検疫用として政府が借り上げたホテルは含まず、以下同)は23.2%で、前年同月から67.6ポイント(pt)の大幅下落となった。前月からは8.0pt上昇。

 ホテル等級別では、5つ星が前年同月から74.9pt下落の16.9%、4つ星が62.0pt下落の28.0%、3つ星が55.7pt下落の37.7%、2つ星ホテルが27.1pt下落の47.9%、ペンサオンが19.6pt下落の46.1%。なお、5つ星ホテルの供給客室数が14.1%減、4つ星ホテルが24.2%減、3つ星ホテルが1.3%減だった点も考慮する必要がある。2つ星とペンサオンについては入境制限が講じられたことに伴い中国本土からの越境通勤者の仮住まいとして利用されたことで下落幅が小さかったものとみられる。

 今年3月末現在、マカオで営業中のホテル数は前年同時期から5軒減の112軒、供給客室数は13.2%減の3.36万室あり、このうち5つ星ホテルが2軒減の33軒で、供給客室数は全体の62.5%を占める2.1万室。

 今年3月のマカオのホテル宿泊客数は前年同月から79.7%減の24.0万人。主な内訳は中国本土旅客が79.8%減の17万0200人、香港旅客が58.8%減の4万3700人、地元のマカオが63.2%減の1万8800人、台湾旅客が96.7%減の1300人。その他は数百人程度で、日本旅客は98.8%減の200人だった。ホテル宿泊客の平均滞在時間は0.5日延びて1.9日。

 今年1〜3月累計のホテル客室稼働率は前年の同じ時期から50.5pt下落の41.4%、ホテル宿泊客数は57.6%減の147.7万人、ホテル宿泊客の平均滞在時間は0.1日延びて1.6日。

 マカオでは、2月5日に防疫対策強化の一環として全カジノ施設が15日間の一時休業となって以降、IR(統合型リゾート)併設の高級リゾートホテルを含む29軒(3899室分)が一時休業に入った。その後、2月20日午前0時からカジノ施設の営業が再開したのを機に、ホテルも相次いで営業を再開した(一部は現在も休業)。また、新型コロナ流入防止策の一環として、外国からの入境・帰国者に対する隔離下における14日間の医学観察措置(隔離検疫)が講じられている。隔離検疫用ホテルは3月末から4月頭のピーク時に12軒、約4500室分に上ったが、水際対策強化と帰国ラッシュが落ち着いたことを受けて現時点では2軒となっている。

 参考までに、マカオの昨年通期の平均客室稼働率は90.8%だった。

マカオ市政署(IAM)による隔離検疫用ホテル(当時、当該ホテルは通常営業に復帰)周辺の消毒作業の様子=2020年3月21日(写真:IAM)

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