マカオ、今年第2四半期の総ギャンブル売上95.5%減の約445億円にとどまる…新型コロナの影響でインバウンド旅客激減

 豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノ施設ばかりが目立つが、実はマカオには競馬、サッカー及びバスケットボールを対象としたスポーツくじ、ロトといった各種合法ギャンブルも存在し、政府とコンセッション(経営権契約)を結ぶ民間事業者によって運営されている。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行でマカオのカジノ業界も大きなダメージを受けている。防疫対策の一環として2月5日から19日までの15日間にわたって全カジノ施設が休業したことに加え、書き入れ時となる春節(旧正月)ゴールデンウィークや労働節ゴールデンウィークを含む1月下旬から現在に至るまで厳格な入境制限が実施されている。7月中旬にようやくマカオと広東省の間の水際対策が緩和されたが、条件付きのものであり、個人・団体自由旅行の解禁にはいたっておらず、インバウンド旅客は激減したままだ。

 マカオカジノ規制当局(DICJ)はカジノの再開にあたり、運営会社に対して従業員及びゲストの健康を最大限保護することなどを求めており、ゲストは入場時に検温、マスクの着用、健康申請書の提出が義務付けられる。7月中旬からは新型コロナウイルス核酸検査陰性証明書の提示も条件に加わった。また、ゲーミング(カジノ)テーブル間の距離の確保、テーブルゲームでは隣席を空ける対応(例えばバカラテーブルでは1テーブルに同時に着席できるのは3〜4人)、スロットマシンについても1台または2台おきの稼動と定められ、交差感染リスク軽減が図られている。チップ等のゲーミング用品に対する消毒も強化実施されている。再開したといっても、あくまで限定的ものだ。

 DICJは7月16日、今年第2四半期(2020年4〜6月)の各種ギャンブル統計を公表。

 今年第2四半期の総ギャンブル売上(Gross Gaming Revenue=GGR)は前年同時期から95.5%減の33.17億マカオパタカ(日本円換算:約445億円)、このうちカジノによる売上は95.6%減の32.34億マカオパタカ(約434億円)で、全体の97.5%を占めた。

 カジノ売上の内訳については、VIPルームによる売上を反映するVIPバカラ売上が95.7%減の15.03億マカオパタカ(約202億円)。カジノ売上全体に占めるVIPルームの割合は46.5%となり、昨年第1四半期から6四半期連続で過半数を割り込んだ。一方、マスゲーミング(いわゆる平場)のバカラ売上は96.4%減の10.59億マカオパタカ(約142億円)。マカオのカジノではバカラが圧倒的なシェアを誇り、通常は9割近くに達するが、特殊状況下の今年第2四半期のカジノ売上全体に占めるVIPバカラとマスゲーミングバカラ売上の比率は79.2%にとどまった。一方でスロットマシンの比率が13.4%まで上昇した。

 今年第2四半期時点のカジノ施設数は前年同時期から横ばいの41軒で、稼働中のゲーミング(カジノ)テーブルの数は前年同時期から865台減の5869台、同スロットマシンの数は1万0043台減の7595台だった。ゲーミングテーブルとスロットマシンの台数が大幅減となっている理由については、防疫対策による稼働減によるもの。ただし、いずれも第1四半期末との比較では増加となった。

 カジノ以外の各種ギャンブルの売上については、競馬が33.3%減の0.14億マカオパタカ(約1.9億円)、中国式ロトが25.0%減の0.03億マカオパタカ(約0.4億円)、サッカーくじが64.8%減の0.5億マカオパタカ(約6.7億円)、バスケットボールくじが61.0%減の0.16億パタカ(約2.1億円)など。

ゲスト及び従業員のマスク着用やカジノ用品の消毒強化といった防疫対策を講じた上で営業を続けているマカオのカジノ施設(資料)=2020年3月(写真:GCS)

【資料1】2020年のマカオの月次カジノ売上の推移(カッコ内は前年比)
・1月:221.26億マカオパタカ=約2968億円(11.3%減)
・2月:31.04億マカオパタカ=約416億円(87.8%減)
・3月:52.57億マカオパタカ=約705億円(79.7%減)
・4月:7.54億マカオパタカ=約101億円(96.8%減)
・5月:17.64億マカオパタカ=約237億円(93.2%減)
・6月:7.16億マカオパタカ=約96億円(97.0%減)
>1〜6月累計:337.20億パタカ=約4524億円(77.4%減)

【資料2】2013年〜2019年のマカオの年間カジノ売上の推移(カッコ内は前年比)
・2013年:3607.49億マカオパタカ=約4兆8394億円(18.6%増)
・2014年:3515.21億マカオパタカ=約4兆7156億円(2.6%減)
・2015年:2308.40億マカオパタカ=約3兆0967億円(34.3%減)
・2016年:2232.10億マカオパタカ=約2兆9944億円(3.3%減)
・2017年:2657.43億マカオパタカ=約3兆5649億円(19.1%増)
・2018年:3028.46億マカオパタカ=約4兆0619億円(14.0%増)
・2019年:2924.55億マカオパタカ=約3兆9225億円(3.4%減)

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