コロナ禍のカジノ業界で日本企業奮闘…『鉄拳』スロットがマカオの大型IR等で稼働開始…LT GAME JAPANとバンナムが共同開発

 新型コロナの世界的流行の影響を受ける業界は多岐にわたるが、カジノ業界もそのひとつ。世界最大のカジノ売上を誇るマカオのカジノも水際対策強化によるインバウンド旅客の激減や防疫措置を講じたニューノーマル下での営業を余儀なくされていることにより苦戦を強いられている。

 カジノ業界は裾野の広い産業で、例えばマカオのカジノで使われているスロットマシンやカジノ用品について、実は多くの日本企業が関わっている。

 コロナ禍で明るいニュースが少ないマカオのカジノ業界だが、日本陣営による注目のスロット機『TEKKEN VIDEO SLOT』が大型IR(統合型リゾート)「ウィンパレス」とマカオ半島にあるカジノ施設「カムペックパラダイスカジノ」で今年4月から稼働を開始し、念願のマカオデビューを果たしている。

 同機は世界で高い知名度と人気を誇る3D対戦格闘ゲーム『鉄拳シリーズ』がテーマのビデオスロットで、日本のゲーミング関連機器開発メーカーLT GAME JAPAN株式会社と株式会社バンダイナムコアミューズメントが共同プロジェクトにより開発、製作(ベースはLT GAME JAPANの「RGX-1000」シリーズ)。2018年11月にマカオで開催された国際カジノ見本市「MGSエンターテイメントショー2018」で世界初公開され、同見本市会場内で行われた来場者投票によるスロット機のコンテストで最優秀テーマ賞を獲得し、数多くのメディアに取り上げられるなど、注目を集めた。昨年11月のMGS2019にも継続出展し、2年越しの奮闘の結果、カジノ施設での稼働にこぎつけたかたちだ。

LT GAME JAPANとバンダイナムコアミューズメントが共同で開発、製作した『TEKKEN VIDEO SLOT』(資料)=MGSエンターテイメントショー2018会場にて本紙撮影

 現在、ウィンパレスでは、『TEKKEN ASUKA ver.』2台、『TEKKEN PANDA ver.』2台、『GOD OF THE SEA.』1台、『RANK UP DRAGON』1台の計6台、カムペックパラダイスカジノでは『RANK UP DRAGON』2台、『GOD OF THE SEA』1台の計3台が設置されているとのこと。記者が現場を訪ねた際、精細な映像、臨場感あるサウンド、さらにはパネルにタッチしてバカラの絞りを再現するといったギャンブラーの心を掴む演出も盛り込まれており、スロットコーナーの中でも非常に際立つ存在と感じた。目下、マカオのカジノ施設すべてがニューノーマル下での営業となっており、ゲストの接触感染リスクを軽減するため1台おきの稼働だったことも付け加えておく。

 また、今夏にも米国オクラホマ州のカジノ施設に16台設置する計画が進んでいるとのこと。LT GAME JAPANの木村寿一会長は本紙の取材に対し、「マカオはもちろんのこと、広くアジア市場へ展開していく」と述べた。

 コロナ明けに向け、着々と実績を積み重ねる『鉄拳』スロット機の動向を今後も追いかけて行きたい。

 なお、マカオと中国本土では新型コロナの封じ込めに成果が現れており、中国広東省珠海市居民を対象にしたビザに相当するマカオ渡航許可(個人・団体観光旅行)の発給が8月12日から再開済み。さらに、同月26日から広東省、9月23日から中国本土全域に拡大するとするスケジュールも発表されている。マカオの総インバウンド旅客数に占める中国本土旅客の割合は約7割となっており、マカオのカジノ業界にとって追い風になると期待されている。

『TEKKEN VIDEO SLOT』が稼働を開始したマカオ・コタイ地区の大型IR「ウィンパレス」(資料)=2020年5月本紙撮影

関連記事

最近の記事

  1.  マカオ司法警察局は11月22日、違法薬物密売及び使用の疑いで香港人の女(37)を逮捕したと発表。…
  2.  マカオ・コタイ地区にある複合リゾート「リスボエタマカオ(澳門葡京人)」併設のショッピングアーケー…
  3.  在香港日本国総領事館は11月22日、同月14日に澳門日本会に対する在外公館長表彰授与式が執り行わ…
  4.  マカオ市政署(IAM)は11月21日、マカオ半島のギアの丘(松山)に位置する史跡「松山軍用隧道(…
  5.  マカオ政府衛生局(SSM)は11月22日夜、同日マカオ域内で輸入性デング熱感染を新たに1例確認し…

ピックアップ記事

  1.  マカオで統合型リゾート(IR)を運営するサンズチャイナと米国のホテル大手マリオットインターナショ…
  2.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  3.  マカオのマカオ半島側とタイパ島を結ぶ4番目の跨海大橋となる「マカオ大橋(澳門大橋/Ponte M…
  4.  マカオの新交通システム「マカオLRT(Light Rapid Transit)」を運営するマカオ…
  5.  マカオ政府は6月17日、政府がコタイ地区の南東部に位置する約9万4000平米の国有地を活用し、約…

注目記事

  1.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
  2.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  3.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  4.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  5.  日本も出場した女子バレーボールネーションズリーグ(VNL)予選第2週のマカオ大会が5月28日から…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年12月号
(vol.138)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun