メルコリゾーツが2020年第2四半期未監査決算を発表…コロナ禍もマカオ及び欧州での開発計画進める、日本進出意欲も不変
- 2020/8/21 9:48
- カジノ・IR
マカオを中心にアジア、ヨーロッパで統合型リゾート(IR)施設の開発・所有・運営を行うメルコリゾーツ&エンターテインメント・リミテッドは8月20日、未監査の2020年第2四半期の決算を発表。
2020年第2四半期の営業総収入は前年同時期から約88%減となる1億8000万米ドル(日本円換算:約190億円)にとどまった。営業総収入減の主要因として、2020年第2四半期における海外からの観光客の著しい減少をもたらした新型コロナウィルスの感染拡大によって、全てのゲーミング(カジノ)部門及びノンゲーミング事業の業績が軟調だったことを挙げた。営業損失は3億7080万米ドル(約392億円)。前年同期の2億0800万米ドル(約220億円)の営業利益を上げていた。前年同期は前年同期の4億4800万米ドル(約473億円)のプラスだった調整後プロパティEBITDAは1億5630万米ドル(約165億円)のマイナスに。純損失は3億6810万米ドル(約389億円)、前年同期は1億0180万米ドル(約108億円)の純利益だった。
2020年及び2019年の第2四半期における非支配株主に帰属する純損失は、それぞれ5870万米ドル(約62億円)及び250万米ドル(約3億円)で、すべてスタジオ・シティ、シティ・オブ・ドリームス マニラ及びキプロスにおける営業に関連するもの。
2020年第2四半期の決算発表にあたり、メルコリゾーツのローレンス・ホー会長兼最高経営責任者(CEO)が発表したコメントは以下の通り。
「新型コロナウィルス並びにこれに伴う旅行規制及び隔離要請は、当社の第2四半期の業績と財務実績に重大な影響を与えています。新型コロナウィルスによる影響を軽減するため、当社は流動性を維持し当社のバランスシートを改善させるための戦略を迅速に策定しました。4月には、新たなシニア融資契約を締結し、当社が保有するクラウン・リゾート・リミテッドの株式を売却することで、当社のバランスシートを補強しました。5月には、当社取締役会が当社の四半期配当計画を停止することを決定しました。
当社のバランスシートをさらに増強するため、当社の子会社である、メルコリゾーツ・ファインナンス・リミテッドは、最近資本市場で資金調達を行い、元金総額8億5000万米ドル(約898億円)の2028年を償還期限とする5.750%優先債券を発行しました。
さらに、当社の(マカオの)スタジオ・シティ プロジェクトについては、スタジオ・シティ・インターナショナル・ホールディングス・リミテッド(以下「SCIHL」)の完全子会社であるスタジオ・シティ・ファイナンス・リミテッドが、元金総額5億米ドル(約528億円)の2025年を償還期限とする6.00%優先債券と、元本総額5億米ドルの2028年を償還期限とする6.50%優先債券を7月に発行しました。8月には、SCIHLは、メルコを含む既存株主に対する、A種類株式及び米国預託株式の一連の私募を完了し、その結果総額約5億米ドル(約528億円)の資金を調達しました。スタジオ・シティに関する取引で調達した資金により、SCIHLのバランスシート及びスタジオ・シティの第二期拡張工事のための資金供給力が大幅に強化されました。
当社は堅実な方法によるバランスシートの管理を継続しています。2020年6月30日時点で、約12億米ドル(約1268億円)の現金を手元に保有し、約16億米ドル(約1691億円)の未使用リボルビング借入可能枠を保持しています。新規優先債券の発行とスタジオ・シティの株式の私募(ただし、当社の引受額である約2億8000万米ドル(約296億円)を除きます)を見積もると、2020年6月30日時点で当社が手元に保有する現金はおよそ20億米ドル(約2114億円)であり、マカオ及びマニラにおける未使用リボルビング借入可能枠は約20億米ドル(約2114億円)となります。
現状の不確実な経済情勢にも関わらず、サステナビリティはマカオ事業における最優先事項であり続けています。当社は、6月に当社の2019年版サステナビリティ・レポートを公表しました。このレポートでは、1) 世界で最も権威を有しかつ長い実績を有する環境開示システムの一つであるCDPよりA-評価を受けるとともにBest First Time Performerの栄誉にあずかったこと、2) 712トンの廃棄物をリサイクル及び堆肥に利用したこと、そして3) シティ・オブ・ドリームス マニラでの毎月10万kWhの発電容量を持つ太陽光パネルの導入を含む直近の12カ月における当社の実績を紹介しています。7月には、エレン・マッカーサー財団と協力し、国連環境計画及び世界観光機関が主導するグローバル・ツーリズム・プラスチック・イニシアチブの署名者となりました。
当社は、世界各地の開発計画にコミットし続けていきます。スタジオ・シティの拡張工事は順調に進んでいます。完工により、約900室の新たな高級客室とスイートルーム、世界で最大の室内/室外ウォーターパークの一つとなるシネプレックス、高級ダイニングレストラン、そして最新のMICEスペースが増設されます。ヨーロッパにおいては、完成すればおよそ500室のラグジュアリーな客室、1500席規模の円形演技場及び約1万平米のMICEスペースを備えたヨーロッパ最大のIRとなる、シティ・オブ・ドリームス メディテレーニアンを開発中です。
日本については、世界が今までに見たことがないIRをこの国に生み出すことへの当社のゆるぎないコミットメントを強調したいと考えています。当社のアジアのプレミアム部門への注力、高品質な施設ポートフォリオ、クラフツマンシップへの注力、世界トップレベルのエンターテインメントを提供することへの情熱、市場をリードするソーシャルセーフガードシステム、パートナーシップ構築について確立された実績、卓越したゲストサービスに関する企業風土及び雇用拡大へのコミットメントは、世界に類を見ない日本ならではの特徴あるIRを日本が実現することをサポートできる絶好の立場に当社を置くものと信じています。
最後に、当社は、当社のIR事業が平常時に回復していく初期の兆候が見られることに胸を高鳴らせています。6月中旬、キプロスのカジノ施設での営業が一部再開されました。さらに、2020年7月15日より、マカオから広東省へ向かう一定の旅行者は、隔離義務に服する必要がなくなりました。2020年8月12日に中国政府は珠海市居住者へのIVSビザの発行を再開し、中国国内全体のIVSビザの発行は2020年9月23日に再開される予定です。これらの発表が、いずれ新型コロナウィルス以前のようなマカオと中国本土間の人の移動の再開につながることに当社は期待を寄せています。最近の前向きな動向に勇気づけられる一方、当社の従業員、お客様そして私たちが事業を行っているコミュニティの安全と健康は引き続き当社の最優先事項であり続けます。」