マカオ、2020年4Qのカジノ売上回復顕著…3Qから4倍超の増…年間ではマスのバカラ売上が初めてVIPルームを上回る

 豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノ施設ばかりが目立つが、実はマカオには競馬、サッカー及びバスケットボールを対象としたスポーツくじ、ロトといった各種合法ギャンブルも存在し、政府とコンセッション(経営権契約)を結ぶ民間事業者によって運営されている。

 新型コロナウイルス感染症の世界的流行とその長期化でマカオのカジノ業界も大きなダメージを受けている。マカオでは、昨年(2020年)1月下旬以降、新型コロナウイルス感染症の流行に伴う入境制限を含む防疫対策が講じられ、インバウンド旅客数の激減。2月には防疫対策の一環としてカジノ施設の半月にわたる(2月5〜19日)一時休業もあり、再開後も現在までテーブル数を限定するなどのニューノーマル下での営業を余儀なくされている。

 目下、外地からの新型コロナ流入防止を目的とした厳格な入境制限は維持されているが、マカオ及び広東省における状況が落ち着いてきたことを受け、昨年7月15日から両地の間で水際対策が一部緩和(新型コロナウイルス核酸検査の陰性証明書の提示などの条件付きで14日間の隔離検疫を免除)された。また、中国広東省珠海市居民及び広東省居民を対象にしたビザに相当するマカオ渡航許可(個人・団体観光旅行)の申請がそれぞれ8月12日、26日から再開。9月23日には中国本土全域に拡大した。昨年のマカオの総インバウンド旅客数に占める中国本土旅客の割合は約7割で、両地の間の往来制限緩和がカジノ売上の回復につながるものと期待されている。

 マカオカジノ規制当局(DICJ)は1月15日、昨年第4四半期(2020年10〜12月)及び通期の各種ギャンブル統計を公表。

 昨年第4四半期の総ギャンブル売上(Gross Gaming Revenue=GGR)は前年同時期から69.6%減の220.18億マカオパタカ(日本円換算:約2853億円)、このうちカジノによる売上は69.7%減の218.36億マカオパタカ(約2829億円)で、全体の99.2%を占めた。

 カジノ売上の内訳については、VIPルームによる売上を反映するVIPバカラ売上が76.4%減の76.27億マカオパタカ(約988億円)。カジノ売上全体に占めるVIPルームの割合は34.9%となり、8四半期連続で過半数を割り込んだ。マスゲーミング(いわゆる平場)のバカラ売上は61.4%減の118.50億マカオパタカ(約1535億円)。年間のVIPバカラ売上は262.80億マカオパタカ(約3405億円)、マスゲーミングのバカラ売上は269.36億マカオパタカ(約3490億円)で、通期として初めてマスゲーミングがVIPを上回った。年間のVIPバカラ売上がカジノ売上全体に占める割合は前年から2.8ポイント下落の43.4%。近年、VIPとマスの均衡化が進んでいる状況。

 なお、昨年第3四半期と第4四半期の比較では、カジノ売上全体が447.0%、VIPバカラ売上が310.4%、マスゲーミングバカラが631.7%のそれぞれ大幅増。水際措置の緩和によって中国本土からのインバウンド旅客が戻ってきた影響が伺える。マカオのカジノではバカラが圧倒的なシェアを誇り、通常は9割近くに達する。昨年第2四半期はかつてない低水準となる79.2%にとどまったが、第3四半期には86.3%、第4四半期にはほぼ通常レベルの89.2%まで戻っている。

ゲスト及び従業員のマスク着用やカジノ用品の消毒強化といった防疫対策を講じた上で営業を続けているマカオのカジノ施設(資料)=2020年3月(写真:GCS)

 昨年第4四半期時点のカジノ施設数は前年同時期から横ばいの41軒で、稼働中のゲーミング(カジノ)テーブルの数は前年同時期から659台減の6080台、同スロットマシンの数は8103台減の8906台だった。ゲーミングテーブルとスロットマシンの台数が大幅減となっている理由については、防疫対策による稼働減によるもの。ただし、いずれも第1四半期から各期末毎に復調傾向を維持している。

 カジノ以外の各種ギャンブルの売上については、競馬が58.3%減の0.10億マカオパタカ(約1.3億円)、中国式ロトが横ばいの0.04億マカオパタカ(約0.5億円)、サッカーくじが4.8%減の1.20億マカオパタカ(約15.4億円)、バスケットボールくじが28.4%減の0.48億パタカ(約6.2億円)など。

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