マカオ、206日連続新型コロナ新規感染確認なし…在外マカオ人115人が東京経由で帰郷へ
- 2021/1/19 9:17
- 社会・政治
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が世界各地へ拡大し、終息の兆しが見えない中、国際観光都市マカオでも状況の変化に応じた各種防疫対策が講じられている。
マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターは1月18日午後5時(現地時間、以下同)から週に一度の定例記者会見を開催。マカオ域内における新型コロナウイルス新規感染確認は206日連続ゼロ、輸入関連性症例に限ると実に295日連続ゼロだったとのこと。
これまでの累計退院者数は46人で、昨年7月17日までに全員が退院済み。同年3月7〜14日と5月20日〜6月25日に続いて新型コロナ流行下で三度目かつ最長の入院患者ゼロ状態に入っている。参考までに、マカオの人口は約68万人。
目下、外地からの新型コロナ流入防止を目的とした厳格な入境制限は維持されているが、マカオ及び中国本土における状況が落ち着いてきたことを受け、7月中旬から両地間の往来制限に関して緩和が進んでいる。すでに、中国本土の一部の中リスク地域(状況に応じて随時アップデートされる、詳細後述)滞在歴がある場合を除き、新型コロナウイルス核酸検査陰性証明の取得などの条件を満たせば隔離検疫なしで往来が可能となっている。
一方、英国で感染力の高い変異種が出現したこと、世界各地で14日間の隔離検疫後に感染が確認される例が相次いでいることなどを受け、昨年12月下旬に相次いで水際措置が強化された。
具合的には、12月21日午後10時から中国本土及び台湾以外からの入境者に対する隔離検疫措置について、従来の14日間から21日間に延長。また、12月23日午前0時以降、マカオ入境前21日以内に外国に滞在歴のあるすべての中国本土、香港、台湾居民のマカオ入境が禁止に。ただし、公共の利益(中でも疾病予防と治療、緊急救助)、マカオの正常運営と居民の基本生活維持に必要な例外的状況に限り、マカオ政府衛生局が入境を許可する場合があるとした。これに加えて、12月1日からスタートしたマカオ入境前に中国本土滞在歴のある中国本土、香港、台湾居民身分を持たない非マカオ居民(=多くの外国人がこれにあたる)を対象とした事前入境申請受付についても要件を変更。これまで、要件のひとつとしてマカオ入境前「14日間以上」中国本土に滞在していることとされたが、これが「21日以上」となった。その他の条件として、家族の集合やマカオと密接な関係があることなどを証明する必要があり、衛生局が申請を受理した後、個別に審査した上で可否判断が行われる。現在、この方法を以外で外国人の入境はできない。1月18日までの認可獲得者数は128人、条件を満たせず不認可となった人の数は150人。なお、外国人の場合でも、有効なマカオ居民身分証あるいは香港永久性居民身分証を保有している場合は、それぞれマカオ居民、香港居民として扱われる。
ボーダーを跨ぐ人の移動が大きく制限される中、海外に滞在するマカオ人の帰郷手段も限られたものとなっている。同センターによれば、1月21日午後、東京(成田)経由で世界13ヶ国に滞在する115人が帰郷予定とのこと。留学生らが約半数だが、高齢者や子どももいるという。各地から航空便で成田へ入り、マカオ航空NX861便に乗り継ぐかたち。ポルトガル、英国、アイルランドなど高リスク地区からの帰郷者も含まれるため、マカオ当局では輸入性症例が出現する可能性があるほか、変異種が見つかることもあり得るとし、これをきっかけとした市中感染につながらないよう、万全の準備で臨む姿勢。帰郷者だけでなく、運航を担当するマカオ航空の乗員についても、全員が21日間のホテルにおける隔離検疫を受けることになっている。
マカオでは無症状であっても検査で陽性であれば感染確認者と見なされ、指定医療機関に入院して治療を受けることになっている。入院期間は平均3〜4週間、退院後も再発症リスクを考慮して隔離施設(高頂公共衛生臨床センター)の陰圧病室で14日間の経過観察、その後も14日間の自宅待機を必須とする多重の安全措置が講じられている。多重の防疫措置に加え、設備、医療スタッフとも充足。これまで市中感染、院内感染例とも発生しておらず、死亡例もゼロを達成している。
昨年1月下旬以降、入境制限を含む厳格な防疫措置が講じられており、市民生活は不便を余儀なくされ、インバウンド旅客の激減に伴う経済への打撃も大きい。マカオ政府は水際対策と同時に、市民が1日1枚のマスクを確実に入手できるよう1月下旬からマスク有償配給制度が現在まで継続実施されているほか、毎年恒例実施している市民への現金配布の前倒しや電子商品券の配布、各種中小企業支援措置といった民生、経済支援対策にも乗り出している。
中リスク地域の指定は市中感染例の出現状況に応じて随時アップデートされ、マカオ入境前14日内に滞在歴がある場合、マカオ到着後、政府指定場所で14日間の医学観察(強制隔離検疫)を受ける必要が生じる。地域指定は社区と呼ばれる基礎行政区画など比較的細かく設定されてきたが、近日では大都市全域が対象となる例も出てきている。
マカオ政府による最新(2021年1月19日正午時点)の中リスク指定地域は下記の通り。
■河北省:石家荘市全域、廊坊市の固安県、邢台市の南宮市/隆堯県
■北京市:朝陽区酒仙橋街道大山子社区、順義区南法信鎮/高麗営鎮/勝利街道/南彩鎮/仁和鎮、北石槽鎮、趙全営鎮、大興区天宮院街道
■遼寧省:大連市全域、瀋陽市全域
■黒竜江省:綏化市、黒河市愛輝区、チチハル市昂昂溪区、ハルビン市香坊区、大慶市竜鳳区
■吉林省:通化市、長春市公主嶺市范家屯鎮/二道区/緑園区
マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターでは、来月中旬に春節(旧正月)シーズンが迫る中、中国本土の各地で散発的な市中感染例の確認が続く状況を受け、マカオへの流入リスクを鑑み、不要不急の外遊を避ける、マカオで就労する中国本土出身のワーカーに対しては帰省を見合わせるようそれぞれ呼びかけている。