香港、1/23単日の新型コロナ新規感染確認数81人…累計1万人突破

 人口約750万人の香港では、昨年(2020年)11月下旬から新型コロナウイルス感染症の流行「第4波」が続いている。

 香港政府は1月23日夕方の記者会見で、同日午前0時時点集計の単日の新規感染確認数が前日から20人増の81人だったと発表。内訳は市中感染が78人、輸入性が3人。市中感染のうち感染経路不明は前日から10人増の35人に上った。このほか、翌日以降に感染確認となる可能性が高い陽性予備群(初歩感染確認者)は70人超とのこと。

 1月に入って以降、新規感染者が集中して確認されていることを受け、九龍半島の油麻地(ヤウマテイ)から佐敦(ジョーダン)にかけてのエリア一帯(油尖旺区)と深水埗(サムソイボウ)エリアで強制検査の対象が拡大されている。同エリアの特定区画(コア区画)居住者については感染者の有無に関係なく、それ以外については感染者が1人以上出現したビルの住民がそれぞれ対象となる。1月23日午前4時、政府は佐敦エリア内の一部に制限区域を設定すると発表。いわゆる封鎖にあたるもので、政府が住民など制限区域内の滞在者に対する強制検査を実施し、すべての対象者が検査を終え、大まかな結果が判明するまで区域外へ出ることができない。香港で封鎖が実施されるのはコロナ流行下で初めてのケース。この日の新規感染確認者のうち21人が油麻地とジョーダン、6人が深水埗の居住者だった。

 また、依然として市内各所で集団感染(クラスター)の発生や集合住宅、宿舎、高齢者介護施設等における感染連鎖も続いている状況。感染経路不明も毎日のように一定数が確認されていることから、市中に存在する無症状感染者が日常生活を送る中で感染を拡大させている可能性が指摘されている。香港は人口密度が高く、交通機関も発達しており、エリアを跨ぐ人の移動が多い土地柄。

 ここまでの香港における累計感染確認数は1万0010人、退院者数は8997人、死者数は168人。香港で最初の感染確認があったのは昨年1月22日のことで、ちょうど1年後に1万人の大台を突破したことになる。

佐敦エリアに設定された制限エリア内を視察する香港政府民政局の徐英偉局長(右)と食物・衛生局の陳肇始局長(中)=2021年1月23日(写真:news.gov.hk)

 香港政府は早期に市中感染ゼロを達成することを目標として掲げ、状況に応じた施策を打ち出している。12月下旬に英国や南アフリカで変異種のウイルスが出現し、香港にも流入したこと、クラスター及び感染経路不明事案が続いていることなどを受け、ソーシャルディスタンス措置(飲食店での同席数を2人までとし、夕食時間帯の営業を禁止するなど)及び学校の対面授業の見合わせ期間の延長、感染者が確認されたマンション・雑居ビル等を対象とする強制検査、水際対策の厳格化、密接接触者追跡センターの稼働などが進んでいる。

 一方、香港の隣にある人口約68万人のマカオでは、1月21日に約7ヶ月ぶりに新規感染確認があった。ドバイからの入境者(帰郷者)で、輸入性事例にあたる。ただし、市中感染に関しては1月22日まで299日連続ゼロ。すでに中国本土との往来制限の緩和が進み、中国本土からのインバウンド旅客が戻りつつある中でも長期にわたって市中感染ゼロを維持できていることから、域内、周辺地域、世界の流行状況に応じて迅速に防疫措置の内容を調整する方策が機能しているといえる。

佐敦エリアの一部に設定された制限区域(香港政府新聞公報より)

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