香港、1/27の新型コロナ新規感染確認数60人…2度目の局地ロックダウン実施、粥店でクラスター出現も
- 2021/1/27 19:55
- 香港・大湾区
人口約750万人の香港では、昨年(2020年)11月下旬から新型コロナウイルス感染症の流行「第4波」が続いている。
香港政府は1月27日夕方の記者会見で、同日午前0時時点集計の単日の新規感染確認数が前日から4人減の60人だったと発表。4日連続減少。内訳は市中感染が6人減の57人、輸入性が3人。市中感染のうち感染経路不明は前日から横ばいの21人だった。このほか、翌日以降に感染確認となる可能性が高い陽性予備群(初歩感染確認者)は40人超とのこと。
エリア内での感染感染例が相次いだことを受け、政府は九龍半島の佐敦(ジョーダン)、深水埗(サムソイボウ)、油麻地(ヤウマテイ)、紅磡(ホンハム)エリアの一部範囲を指定し、強制検査の対象を拡大して臨んでいる。指定範囲内では感染者が1人以上出現または汚水から採取したサンプルで陽性反応が検出されたビルの居住者全員が強制検査の対象となる。
1月23日午前4時から25日午前3時半頃までの約2日間にわたって佐敦エリアの一部がコロナ禍で初めて制限区域として封鎖(局地ロックダウン)され、約7000人に対する強制検査を実施した結果、13人の感染が確認された。また、2度目となる局地ロックダウンが油麻地エリアの一角で26日午後7時から27日午前6時までの11時間にわたり実施され、約330人が強制検査を受け、少なくとも1人の感染確認があったという。前回よりも範囲が狭かったことから、短時間での封鎖解除となった。政府は局地ロックダウンを事前通告せず実施しており、今後も状況に応じて同様の措置を講じる可能性を示唆している。
なお、九龍半島の一部が高リスクエリアとしてクローズアップされているが、必ずしも他のエリアが安全というわけではない。26日の市中感染者57人のうち、上述の強制検査対象拡大指定範囲を含む3区の居住者は21人で、半数以上は他エリアで確認されたものだった。香港は人口密度が高く、交通機関も発達しており、エリアを跨ぐ人の移動が多いこともあり、市中に存在する無症状感染者が日常生活を送る中で感染を拡大させている可能性が指摘されている。依然として市内各所で集団感染(クラスター)の発生や集合住宅、宿舎、医療機関、高齢者介護施設等における感染連鎖も続いている状況。26日は紅磡エリアにある粥店で調理担当を含む複数のスタッフの感染及ぶ初歩感染確認があり、10人超が検疫センターに送致された。当局は新たなクラスターとの見方を示し、1月16日から23日の間にこの店を利用した客にも検査を受けるよう呼びかけている。
ここまでの香港における累計感染確認数は1万0283人、退院者数は9162人、死者数は175人。
香港政府は早期に市中感染ゼロを達成することを目標として掲げ、状況に応じた施策を打ち出している。12月下旬に英国や南アフリカで変異種のウイルスが出現し、香港にも流入したこと、クラスター及び感染経路不明事案が続いていることなどを受け、ソーシャルディスタンス措置(飲食店のイートインは1テーブルあたり2人までに制限、飲食店の夕食時間帯以降の営業禁止、バー・美容院・劇場・カラオケ店ほか多業種を対象とした閉鎖令など)、学校の対面授業の見合わせ、複数感染者が確認されたマンション・雑居ビル等を対象とする強制検査、水際対策の厳格化、密接接触者追跡センターの設置などが進んでいる。
一方、香港の隣にある人口約68万人のマカオでは、1月21日に約7ヶ月ぶりに新規感染確認があった。ドバイからの入境者(帰郷者)で、輸入性事例にあたる。ただし、市中における感染確認に関しては1月27日まで304日連続ゼロ。すでに中国本土との往来制限の緩和が進み、中国本土からのインバウンド旅客が戻りつつある中でも長期にわたって市中感染ゼロを維持できていることから、域内、周辺地域、世界の流行状況に応じて迅速に防疫措置の内容を調整する方策が機能しているといえる。