マカオ、309日連続市中での新型コロナ感染確認なし…累計47人、死亡例ゼロ=現在入院中はドバイ輸入例の1人のみ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が世界各地へ拡大し、終息の兆しが見えない中、国際観光都市マカオでも状況の変化に応じた各種防疫対策が講じられている。

 マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターは2月1日午後5時(現地時間、以下同)から週に一度の定例記者会見を開催。同日までマカオの市中における感染伝播事案は出現しておらず、輸入性または輸入関連性事案のみで、市中における感染確認は無症状感染者を含めて309日連続ゼロだった。輸入性事案に関しては10日連続ゼロ。

 これまでの累計感染者数は47人で、45人が域外からの輸入性、2人が輸入関連性事案。院内感染、死亡例ともゼロを達成している。

 目下、1人が公立総合病院にあたる仁伯爵綜合醫院(通称:山頂醫院)の隔離病室で入院治療を受けており、断続的に微熱が出現しているが、肺炎の兆候はないとのこと。患者は滞在先のドバイを1月19日に出発し、シンガポールと東京(成田)を経由して21日夜にマカオへ到着したマカオ人の女性(43)で、空港における簡易検査で陽性反応が出たことから仁伯爵綜合醫院へ搬送され、正式な核酸検査を経て22日未明に正式に感染確認が発表された。成田からマカオへ向かうマカオ航空NX867便で患者と座席が近かった8人が密接接触者として衛生局の施設で隔離検疫を受けている。1月21日には、患者のほか100人超の在外マカオ人が成田経由のマカオ航空NX861便、867便に分乗して帰郷している。患者と密接接触者以外の帰郷者とマカオ航空の乗員については、コロアン島にあるホテルで21日間の隔離検疫中。衛生局によれば、隔離検疫期間中に全員が3回の核酸検査を受けるほか、疫学的分析のため隔離検疫期間満了直前に血清抗体検査を実施し、感染歴の有無を確認するとのこと。

 このほか、新型コロナワクチンの到着見通しについて、中国医薬集団(シノファーム)の不活化ワクチン(生産地:中国・北京)の第1便(10万本)が今週中にもマカオへ到着予定となっており、春節(旧正月、今年は2月12日)前にも接種を開始できるとした。中国の復星医薬が代理となるドイツ・ビオンテックのmRNAワクチン(生産地:ドイツ、フランス、ベルギーのいずれか)の第1便(10万本)についても2月下旬到着、3月接種開始のメドが立っているが、英国アストラゼネカのアデノウイルスベクターワクチン(生産地:米国)は早くても今年第3四半期の到着になるとのこと。マカオ政府は上記の3種のワクチンを各40万本確保したと発表しており、第1便で到着したものについては防疫対策の前線での任務に従事する医療スタッフへの接種を優先するが、あくまで希望制とし、複数のワクチンの中から自由に選択できることを強調している。

マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターによる定例記者会見=2021年2月1日(写真:マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センター)

 マカオでは、外地からの新型コロナ流入防止を目的とした厳格な入境制限は維持されているが、マカオ及び中国本土における状況が落ち着いてきたことを受け、7月中旬から両地間の往来制限に関して緩和が進んでいる。すでに、中国本土の一部の中リスク地域(状況に応じて随時アップデートされる、詳細後述)滞在歴がある場合を除き、新型コロナウイルス核酸検査陰性証明の取得などの条件を満たせば隔離検疫なしで往来が可能となっている。

 一方、英国で感染力の高い変異種が出現したこと、世界各地で14日間の隔離検疫後に感染が確認される例が相次いでいることなどを受け、昨年12月下旬以降、相次いで水際措置が強化されている。

 具合的には、12月21日午後10時から中国本土及び台湾以外からの入境者に対する隔離検疫措置について、従来の14日間から21日間に延長。また、12月23日午前0時以降、マカオ入境前21日以内に外国に滞在歴のあるすべての中国本土、香港、台湾居民のマカオ入境が禁止に。1月21日からは、マカオ入境時の隔離検疫対象者について、隔離検疫期間満了後も自己健康追跡期間が設定された。隔離検疫期間はマカオ入境前の滞在地によって、14日間または21日間となっているが、隔離検疫期間満了後のそれぞれ少なくとも14日間、7日間が自己健康管理期間となる。自己健康管理期間満了予定日の1日前に新型コロナウイルス核酸検査を受け、その結果が陰性であれば自己健康管理措置が解かれるという。自己健康管理中は厳格な個人防疫措置を講じることが求められる。外国人の入境禁止措置も継続中。

 昨年1月下旬以降、入境制限を含む厳格な防疫措置が講じられており、市民生活は不便を余儀なくされ、インバウンド旅客の激減に伴う経済への打撃も大きい。マカオ政府は水際対策と同時に、市民が1日1枚のマスクを確実に入手できるよう昨年1月下旬からマスク有償配給制度が現在まで継続実施されているほか、毎年恒例実施している市民への現金配布の前倒しや電子商品券の配布、各種中小企業支援措置といった民生、経済支援対策にも乗り出している。

 中リスク地域の指定は市中感染例の出現状況に応じて随時アップデートされ、マカオ入境前14日内に滞在歴がある場合、マカオ到着後、政府指定場所で14日間の医学観察(強制隔離検疫)を受ける必要が生じる。最近、中国北方で市中感染例が確認される再流行事例が相次いでおり、中リスク地域の追加指定が相次いでいる。地域指定は社区と呼ばれる基礎行政区画など比較的細かく設定されるが、比較的広い区域や、大都市全域が対象となるような例もある。マカオ政府による1月31日午前0時時点の中リスク地域は下記の通り。

■河北省:石家荘市全域、廊坊市の固安県、邢台市の南宮市/隆堯県、保定市の定州市西城区龐白土新民居北区
■北京市:北石槽鎮、趙全営鎮、大興区天宮院街道
■遼寧省:大連市全域
■黒竜江省:綏化市、チチハル市昂昂溪区、ハルビン市香坊区/道裡区/道外区/利民開発区/呼蘭区、大慶市竜鳳区/南崗区
■吉林省:通化市、長春市の公主嶺市范家屯鎮/二道区/緑園区、松原市松原経済技術開発区/寧江区
■上海市:黄浦区外灘街道轄区(昭通路居民区と貴西小区含む)、南京東路街道轄区、宝山区友誼路街道轄区

 マカオ政府は春節(旧正月)ホリデーシーズンを迎えるにあたり、早い段階から外地での感染リスク及びマカオへの流入防止対策としてマカオで就労する中国本土出身の労働者に対して帰省を、市民に対して外遊を控えるようそれぞれ求めてきた。1月28日には必要に迫られ渡航する場合、渡航先における自己防疫措置を徹底した上、人の集まる場所や医療機関などを訪問しないこと、広東省以外の特に中国北方地域を訪問してマカオへ戻る場合に隔離検疫対象となる可能性があることなどのリスク提示をあらためて発出している。

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