人口69万人のマカオ、新型コロナワクチン2回目接種完了は3.2万人に…ワクチン接種後の献血は最短で接種翌日から48時間後以降に

 マカオでは、2月9日から高リスク群を対象とした新型コロナワクチンの接種がスタートした。

 その後、同月22日から接種対象が全マカオ居民(マカオ居民IDカード保有者)へ、3月9日からマカオで就労する海外労働者やマカオの学校に通う非居民の学生らへ、4月9日からは海外労働やの家族、領事職員、就労ビザが切れたものの帰国できず滞在している人など上記以外の合法的常住者(過去6ヶ月内の過半をマカオに滞在した上で条件を満たした場合)へも拡大されている。

 マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターの発表によれば、4月23日午後4時までに接種予約を済ませた人は延べ15万0647人おり、累計接種本数は9万0063本、すでに接種を受けた人は5万8186人とのこと。内訳は1回目の接種完了が2万6309人、2回目の接種完了が3万1877人。マカオの人口は約69.3万人。ここまで接種率は低水準にとどまっているが、マカオでは新型コロナ流行の封じ込めに成功している状況で、香港のようなワクチン接種者を対象とした防疫措置上の優遇策も用意されておらず、切迫性がないためとみられる。

 同センターでは、自分自身に対する保障、家族の保護、さらには免疫の壁を形成することでマカオを護ることができると早めの接種を呼びかけを続けている。

 現在、マカオで使われているワクチンは中国医薬集団(シノファーム)製の不活化ワクチン(中国製)と中国の復星医薬が代理となるドイツ・ビオンテック製のmRNAワクチン「Comirnaty」(ドイツ製)の2種。

 このほか、英国アストラゼネカ製のアデノウイルスベクターワクチン(米国製)も到着予定となっているが、当初今年第3四半期をめどとしていたものの、近日マカオ政府は供給の一時見合わせ方針を明らかにしている。マカオ政府が確保した3種のワクチンの合計は150万本。いずれも2回の接種(約1ヶ月間隔)が必要なものだが、人口の2倍に相当するため、充足しているといえる。

ビオンテック製のmRNAワクチンの接種を受けるマカオ居民(資料)=2021年3月3日(写真:マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センター)

 気になるワクチン接種後の異常だが、23日午後4時までの累計で402件報告されており、めまいや微熱など軽微なものが400件とのこと。重大事案は2件で、いずれもビオンテック製ワクチンの接種者。1件目は左胸痛を訴えた後に急性冠症候群の疑いと診断されたもの(3月10日公表)だが、その後の専門家らによる分析で接種との因果関係なしと判断された。2件目は顔面神経麻痺が出現したもの(4月16日公表)で、専門家による分析が行われる予定。

 なお、ワクチン接種は希望者のみを対象としている。費用はマカオ居民、マカオで就労する海外労働者、マカオの学校に通う学生は無償、その他は1回あたり250マカオパタカ(日本円換算:約3400円)となる。政府はポルトガル系のフィデリダーデ・マカオ社と不良副反応・副作用に関する保険契約も締結済みで、保障期間は接種後90日間、補償額は1人あたり最大100万マカオパタカ(約1360万円)とのこと。

 このほか、マカオ政府衛生局は4月23日、新型コロナワクチン接種者が献血に協力する場合に要する時間的バッファに関する情報をあらためて告知。

 中国医薬集団(シノファーム)製のCNBG及び中国科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)製のCoronaVac(マカオでは未採用)を含む不活化ワクチンは接種翌日から計算して48時間後以降、mRNAワクチンの独ビオンテック製Comirnatyやアデノウイルスベクターワクチンのアストラゼネカ製など、その他については接種翌日から計算して14日後以降としている。

 4月23日までのマカオにおける新型コロナの感染確認数は累計49人。内訳は域外からの輸入性が47人、輸入関連性事案が2人。市中感染例は390日連続ゼロを維持しており、封じ込めに成功している状況。院内感染、死亡例についてもゼロ。

関連記事

最近の記事

  1.  マカオ治安警察局は11月21日、他人の身分証を使用してカジノへ入場した上、賭博で獲得した得たポイ…
  2.  冬のマカオの街を美しく彩る毎年恒例のイルミネーションイベント「ライトアップマカオ2024(中国語…
  3.  マカオ政府統計・センサス局(DSEC)は11月21日、今年(2024年)10月の訪マカオ外客数(…
  4.  マカオを中心にアジア、欧州で統合型リゾート(IR)施設の開発・所有・運営を行うメルコリゾーツ&エ…
  5.  マカオの新交通システム「マカオLRT(Light Rapid Transit)」を運営する澳門輕…

ピックアップ記事

  1.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  2.  マカオ政府は6月17日、政府がコタイ地区の南東部に位置する約9万4000平米の国有地を活用し、約…
  3.  マカオのマカオ半島側とタイパ島を結ぶ4番目の跨海大橋となる「マカオ大橋(澳門大橋/Ponte M…
  4.  マカオで統合型リゾート(IR)を運営するサンズチャイナと米国のホテル大手マリオットインターナショ…
  5.  マカオの新交通システム「マカオLRT(Light Rapid Transit)」を運営するマカオ…

注目記事

  1.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
  2.  日本も出場した女子バレーボールネーションズリーグ(VNL)予選第2週のマカオ大会が5月28日から…
  3.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  4.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  5.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年11月号
(vol.137)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun