香港の日系企業を狙った詐欺未遂事件が複数件発生…領事館が注意呼びかけ
- 2021/5/5 10:17
- 澳日関係
今年(2021年)4月、香港の日系企業を狙った詐欺未遂事件が複数件発生していたという。
在香港日本国総領事館が5月5日午前に現地在住者向けに一斉メールを配信し、事件の概要を伝えるとともに、注意を呼びかけた。
同館によれば、いずれの件も(ネイティブではない)日本語を使用し,日本本社の代表名を名乗りM&Aの交渉のため指定の弁護士と連絡を取るよう促すものとのこと。また,現法代表が異動した直後を狙ったという可能性もあるという。これまでのところ、実際の被害が生じたとの情報はないが、今後も同様の事案が発生するおそれがあり、注意を要するとした。
香港の日系企業を狙った詐欺未遂事案の概要は以下の通り。(在香港日本国総領事館配信メールの内容より)
【事案1】
●4月12日に香港法人のオフィスに電話があり、現地社員がとったところ、日本本社の社長の名前を名乗り、「M&Aの交渉を行っているのだが、資金が不足している」「これから言う弁護士のアドレスにメールを送ってほしい」と日本語で話してきた。近くにいた日本人の現法代表が電話を替わり、改めて名前を確認したところ、再度社長の名前を名乗ったが、実際の声とは違うこと、また話し方が日本人(ネイティブ)とは異なることから偽物と判断。そこで、「こちらから本社に確認する」と言ったところ、電話は切れた。電話番号は表示されなかったため、どこからかかっていたのかわからない。
●こうした電話は初めてで、その後はかかってきていない。日本人が聞けば外国人とすぐわかる発音であり、いろいろ問い質すと日本語がしどろもどろになった。現地職員を狙った犯行と見受けられる。
【事案2】
●4月13日、香港法人の財務担当(日本人)に直通で電話があり、日本本社の会長の名前を名乗ってきた。「今役員が集まってM&Aの話をしている。今から言う弁護士に電話をしてほしい」「お前、経理やな」などと関西弁で話すものの、日本人ではないとわかる発音であり、また会長本人とは違う声質であった。そこで改めて本人なのか確認すると、電話は切れてしまった。
●電話機に表示された番号は香港の番号であったが、調べると迷惑電話でよく使われる番号であったことから、海外から香港を経由してかけてきたものと考えられる。
なお、類似の事件がメキシコやドイツでも2019年頃に起きていることから、他国の日系企業でも起こりうる事件とし、もしこのような電話やメールが来た場合、同館及び本社の担当部署への通知を促している。