香港・マカオが独ビオンテック製新型コロナワクチン「Comirnaty」の接種下限年齢を12歳へ引き下げへ

 香港・マカオでは、今年(2021年)2月から新型コロナワクチンの接種がスタートしている。

 香港・マカオとも2種のワクチンを使用しており、独ビオンテック製のmRNAワクチン「Comirnaty」は共通、中国製の不活化ワクチンについては香港が科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)製、マカオが中国医薬集団(シノファーム)製と異なる。両地ともワクチンの数は充足しており、広く接種の門戸が開かれている状況だが、接種率は低位にとどまっており、両政府は免疫の壁を構築する重要性を説き、早めの接種を呼びかけている状況だ。

 なお、独ビオンテック製のmRNAワクチン「Comirnaty」は日本で「ファイザー」と呼ばれているものに相当する。香港・マカオ地区では中国の復星医薬(フォースン・ファーマ)が代理となっている。

 香港・マカオ両政府は6月3日、独ビオンテック製のmRNAワクチン「Comirnaty」について、接種対象年齢を12歳に引き下げる考えを相次いで明らかにした。現状は16歳以上とされている。

 マカオ政府衛生局3日、新型コロナウイルスワクチンに関するリスク評価ワーキンググループの全体会議を開き、独ビオンテック製のmRNAワクチン「Comirnaty」の12〜15歳の年齢層における臨床試験データ及び欧米において12〜15歳に対する接種が承認されていることを根拠に、良好な安全性と有効性が認められると結論付けた。ワーキンググループでは、子供の新型コロナウイルス感染による重症化や死亡リスクは低いものの、海外を訪れた場合の感染リスクは無視できず、感染した場合に学校内で伝播しやすいこと、高齢者や慢性疾患を持つ人のいる家庭にウイルスを持ち込む可能性もあり、子供へのワクチン接種は重要なメリットがあるとした。今後、準備が整い次第、接種対象年齢の改定が行われる見通し。

 香港でもマカオ同様の検討がなされており、週明けにも12〜15歳を対象とした接種に関する詳細が発表される予定。

 目下の新型コロナワクチン接種率は、香港が2割強、マカオが2割弱となっている。近日は近接する広東省における流行再出現や、両政府による呼びかけなどの効果もあり、接種を受ける人の数が増えている。

 香港では4月末に流行第4波が終息して以降、マカオではすでに430日以上にわたってそれぞれ新規の市中感染確認確認ゼロが続いている状況。

ビオンテック製のmRNAワクチンの接種を受けるマカオ居民(資料)=2021年3月3日(写真:マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センター)

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