中国広東省の新型コロナ再流行深刻化…マカオは流入阻止へ水際措置強化で対応

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が世界各地へ拡大し、終息の兆しが見えない中、国際観光都市マカオでも状況の変化に応じた各種防疫対策が講じられている。

 マカオにおける新型コロナの市中感染例は430日以上にわたってゼロを維持しており、封じ込めに成功している状況だ。

 目下、外地からの新型コロナ流入防止を目的とした厳格な入境制限が維持されているが、中国本土でも概ね状況が落ち着いたことを受けて、昨年7月中旬以降、両地間の往来制限が段階的に緩和された。同年9月下旬までに中国全土で訪マカオ許可(観光ビザに相当)の申請・発給が再開され、一部の「中リスク地域」を除き、新型コロナウイルス核酸検査陰性証明取得などの条件を満たせば隔離検疫なしでの往来が可能となっている。中国本土との往来制限緩和後もマカオでは市中感染ゼロを維持できており、各種防疫対策が機能しているといえる。

 中リスク地域の指定は市中感染例の出現状況に応じて随時アップデートされ、マカオ入境前14日内に滞在歴がある場合、マカオ到着後、政府指定場所(ホテル)で14日間の医学観察(強制隔離検疫)を受けることが必須で、さらに隔離検疫満了後も14日間の自己健康管理期間として個人防疫対策を講じることが求められる。

 今年(2021年)1月から2月中旬にかけて中国北方を中心に市中感染の再発が確認されたため、中リスク地域の指定が相次いだが、その後は状況が好転し、一旦は2月23日までに指定ゼロとなった。しかしながら、最近になって中国の複数地域で市中感染例が出現し、中リスク地域が再設定された。中でも、近日はマカオから近く、往来も盛んな広東省の主要都市における状況が深刻化しており、中リスク地域指定の追加が続いている。

 地域指定は社区と呼ばれる基礎行政区画など比較的細かく設定されるが、今年1〜2月には大都市全域が対象となるような例もあった。

 マカオでは、ここ数日の間に広東省からの流入阻止を目的とした水際措置の強化を相次いで打ち出している。

 政府新型コロナウイルス感染症対策センターは6月7日朝、8日午前10時から広東省とマカオの間を往来するすべての人に対し、48時間以内の新型コロナPCR検査陰性証明の提示を必要とする措置を講じると発表。さらに、今後の状況に応じて、新型コロナワクチン接種証明とセットでの提示を求める可能性もあるとした。

 また、7日早朝には、すでにマカオ内に滞在しており、14日以内に広東省の広州市あるいは仏山市に滞在歴のある人に対し、同日午後6時までに所定の医療機関でPCR検査を受けることを求める通知が発出された。検査を受けて陰性だった場合は、対象地域を離れて14日目までを自己健康管理機関に、期限までに検査を受けなかった場合は14日間の隔離検疫の対象になるとのこと。

 このほか、6日午後には広東省の中リスク地域の指定が拡大されている。

 マカオ政府が設定した6月6日午後6時時点(現地時間)の中リスク地域は下記の通り。

■広東省広州市:ライ湾区、海珠区、越秀区、番禺区、南沙区
■広東省深セン市:龍崗区園山街道の西坑社区/安良社区、鹽田区の沙頭角街道橋東新村/鹽田街道沙崗ウ/東海麗景花園/東海社区/鹽田港/沿港社区
■広東省仏山市:盈康包裝有限公司宿舍、禅城区、南海区
■広東省茂名市:電白区那霍鎮馬路旧屋村
■安徽省:六安市裕安区

 なお、マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターは5日夜の時点で市民に対して広州市、仏山市の一部への不要不急の渡航を一時見合わせるよう呼びかけていた。

 今年1〜2月にかけて中国の広い範囲で中リスク地域指定がなされた際、インバウンド旅客が落ち込んだ。広東省からの旅客数は中国本土旅客全体の約5割を占めるため、今後の動向によってはインバウンド旅客の回復傾向に影響が生じる可能性も指摘されている。

マカオと中国広東省との主要な陸路の玄関口となる關閘イミグレーション(資料)―本紙撮影

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