マカオ、2021年5月のホテル客室稼働率は62.0%…コロナ影響後の最高を更新、中国本土旅客がけん引

 マカオは人口約68万人、面積約32平方キロという小さな街だが、世界遺産やカジノを核とした大型IR(統合型リゾート)に加え、マカオグランプリをはじめとした大規模イベントが数多く開催されるアジア有数の国際観光都市として知られる。

 マカオの年間訪マカオ外客数(インバウンド旅客数)は一昨年(2019年)には延べ(以下同)3940万6181人に上ったが、昨年(2020年)は対前年85.0%減の589万6848人にとどまった。昨年1月下旬から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)防疫対策の一環として入境制限を含む厳格な水際措置が講じられていることが主要因。ただし、マカオと中国本土における流行状況が落ち着いてきたことを受け、昨年第4四半期以降は中国本土との往来制限の緩和が進み、新型コロナウイルスPCR検査陰性証明書の提示などの条件付きで隔離検疫が免除となったことから、インバウンド旅客が回復傾向にある。5月下旬からマカオと隣接する広東省で再流行が出現したことを受け、両地の往来にかかる水際措置が強化されたため(一部「中リスク地域」滞在歴ある旅客に入境後14日間の隔離検疫を必須とするなど)、6月以降のインバウンド旅客数にマイナス影響が及ぶ可能性も指摘されている。

 今年5月のインバウンド旅客数は前年同月から52.7倍増、前月から9.0%増の86万6063人だった。対前月では3ヶ月連続増で、コロナ影響後最多となった一方、新型コロナの影響が生じる前にあたる2019年の同月との比較では4分の1にとどまっている。

 マカオ政府統計調査局は6月29日、今年5月のホテル宿泊客関連統計を公表。同月の平均ホテル客室稼働率(新型コロナの影響で一時休業中及び隔離検疫用ホテルの客室分は含まず、以下同)は62.0%で、前年同月から50.2ポイント(pt)、前月からも3.1ptのそれぞれ上昇。新型コロナの影響が生じて以降の最高を3ヶ月連続で更新した。

 ホテル等級別では、5つ星が前年同月から55.2pt上昇の60.2%、4つ星が47.3pt上昇の67.5%、3つ星が48.4pt上昇の70.7%、2つ星ホテルが12.0pt上昇の46.4%、ペンサオン(ゲストハウス)が4.6pt上昇の43.2%。なお、5つ星ホテルの供給客室数が11.1%増、4つ星ホテルが4.3%増、3つ星ホテルが9.3%増、2つ星ホテルが23.0%増、ペンサオンが15.9%増だった点も考慮する必要がある。

 今年5月末現在、マカオで営業中のホテル数は前年同時期から7軒増の115軒、供給客室数は10.1%増の3.73万室あり、このうち5つ星ホテルが1軒減の33軒で、供給客室数は全体の63.0%を占める2.35万室。

 今年5月のマカオのホテル宿泊客数は前年同月から5.5倍増の76.0万人。中国本土旅客は前年同月から8.2倍増となる65.9万人だった。地元のマカオ客も1.1倍増の6.8万人で、ステイケーション需要とみられる。ホテル宿泊客の平均滞在時間は前年同月から0.4日短い1.6日。

 今年1〜5月累計の平均ホテル客室稼働率は前年同時期から21.2pt上昇の51.3%、ホテル宿泊者数は71.5%増の290.8万人。ホテル宿泊客の平均滞在時間は横ばいの1.7日。

大型カジノIR(統合型リゾート)が建ち並ぶマカオ・コタイ地区の風景(資料)=2020年7月本紙撮影

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