マカオ、474日連続で新型コロナ市中感染例ゼロ…衛生局がワクチンの3回目接種を研究中、ブースター効果に期待

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が世界各地へ拡大し、終息の兆しが見えない中、国際観光都市マカオでも状況の変化に応じた各種防疫対策が講じられている。

 マカオに隣接する広東省において5月下旬から再流行が出現したため、マカオでも6月にかけて水際措置の強化が図られたが、終息を受けて7月10日までに従前の措置へと戻された。

 マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターは7月16日午後5時(現地時間、以下同)から記者会見を開催。同日までマカオの市中における新型コロナの感染確認は輸入性または輸入関連性事案のみで、市中における感染伝播事案は出現していない。市中感染確認例は無症状感染者を含めて474日連続ゼロとなった。輸入性事案は12日連続ゼロ。

 これまでの累計感染確認者(患者)数は55人で、53人が域外からの輸入性、2人が輸入関連性事案。院内感染、死亡例ともゼロを維持している。すでに53人が治癒し退院済み。現在、コロアン島にある公共衛生臨床センター(新型コロナ指定医療機関)に無症状の患者2人、海外で感染歴があり再陽性が出現した1人、海外の高リスク地域から入境し抗体検査で陽性が確認された8人、密接接触者9人が治療及び医学観察(隔離検疫)のため収容されている。

 目下、外地からの新型コロナ流入防止を目的とした厳格な入境制限が維持されているが、中国本土でも概ね状況が落ち着いたことを受けて、昨年7月中旬以降、両地間の往来制限が段階的に緩和された。同年9月下旬までに中国全土で訪マカオ許可(観光ビザに相当)の申請・発給が再開され、一部の「中リスク地域」を除き、新型コロナウイルス核酸検査陰性証明取得などの条件を満たせば隔離検疫なしでの往来が可能となっている。中国本土との往来制限緩和後もマカオでは市中感染ゼロを維持できており、各種防疫対策が機能しているといえる。

 中リスク地域の指定は市中感染例の出現状況に応じて随時アップデートされ、マカオ入境前14日内に滞在歴がある場合、マカオ到着後、政府指定場所(ホテル)で14日間の医学観察(強制隔離検疫)を受けることが必須で、さらに隔離検疫満了後も14日間の自己健康管理期間として個人防疫対策を講じることが求められる。現時点での中リスク地域は雲南省徳宏タイ族チンポー族自治州の瑞麗市のみ。

マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターによる記者会見=2021年7月16日(写真:マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センター)

 マカオでは、2月9日から高リスク群を対象とした新型コロナワクチンの接種がスタートした。その後、同月22日から接種対象が全マカオ居民(マカオ居民IDカード保有者)へ、3月9日からマカオで就労する海外労働者やマカオの学校に通う非居民の学生らへ、4月9日からは海外労働やの家族、領事職員、就労ビザが切れたものの帰国できず滞在している人など上記以外の合法的常住者(過去6ヶ月内の過半をマカオに滞在した上で条件を満たした場合)へも拡大されている。現在、マカオで使われているワクチンは中国医薬集団(シノファーム)製の不活化ワクチン(中国製)と中国の復星医薬が代理となるドイツ・ビオンテック製のmRNAワクチン「Comirnaty」(ドイツ製)の2種。

 16日午後4時までの累計ワクチン接種回数は44万0549回で、接種人数は26万6623人。内訳は、1回目の接種を済ませた人が9万1069人、2回目の接種を済ませた人が17万5554人。

 ワクチン接種後の異常については、累計で1914件報告されており、めまいや微熱など軽微な事案が1908件、重大な事案が6件。

 マカオ政府はシノファーム製、ビオンテック製に加え、英国アストラゼネカのアデノウイルスベクターワクチン(生産地:米国)の計150万本を確保済み。アストラゼネカ製のワクチンについては、現状の接種の進行状況と2種のワクチンの在庫及び供給予定を鑑み、年内の供給を見合わせることを発表済み。

 なお、ワクチン接種はあくまで希望制であり、在庫がある状況下において複数のワクチンの中から自由に選択できるとされている。これまでのところ、シノファーム製が84%とのこと。接種費用はマカオ居民、マカオで就労する海外労働者、マカオの学校に通う学生は無償、その他は1回あたり250マカオパタカ(日本円換算:約3300円)となる。

 マカオ政府が確保したワクチンはいずれも2回接種が必要なものだが、マカオの総人口は約68万人のため、充足しているといえる。

 この日の会見では、衛生局がワクチンの3回目の接種によるブースター効果について研究中であることも明らかにされた。同局では、2回の接種で重症化及び死亡リスクの大半を軽減できるが、感染・伝播予防についての効力は不足しており、ワクチンによる保護力は時間の経過とともに低下することなどから、世界各地における3回目のワクチン接種の状況を積極的に研究、参考にしているという。具体的な3回目の接種の対象、開始時期については依然検討中とのこと。また、異なるワクチンを混合接種する方法については、その可否を判断するため関連データの収集が必要であるとし、現時点では同一ブランドまたは同一技術のワクチンを2回接種することを要件としているとした。

 このほか、中国本土との往来に関する一層の制限緩和、香港との隔離検疫免除での往来再開については、中国本土、香港当局と協議を続けているとしたものの、具体的な進展はなく、アップデートがあれば速やかに公表すると述べるにとどまった。

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