人口約740万人の香港では、昨年（2020年）11月下旬から新型コロナウイルス感染症の流行「第4波」が続いていたが、5月にかけてようやく状況が落ち着き、5月末に終息した。

　6月以降は、上旬に1家族の女性3人の市中感染例、24日と27日にかけて空港での業務に従事する男性1人とその密接接触者の1人、7月2日に検疫用ホテルの清掃作業員の女性1人、11日に空港での業務に従事する男性1人の輸入関連性感染確認例（いずれも当初市中感染例からの変更）、8月5日には建設作業員（感染経路不明、これまで感染確認に至らなかった無症状感染者の再陽性事例）、8月17日に空港ラウンジ職員（感染経路不明、L452R変異株）の市中感染確認があったが、目立ったリバウンドはなく、落ち着いた状況が続いている。

　香港政府の発表によれば、9月22日午前0時時点集計の単日の新規感染確認数は1人とのこと。輸入性（海外からの入境者）のケースで、市中感染確認例に限ると36日連続ゼロを維持した。

　患者は20日にセブパシフィック航空5J272便でフィリピン・マニラから香港へ到着。6月と7月にフィリピンでビオンテック製の新型コロナワクチン（日本でファイザーと呼ばれているものに相当）を2回接種済みで、無症状ながらL452R変異株感染だった。

　翌日以降に感染確認となる可能性が高い陽性予備群（初歩感染確認者）は5人以下という。

　香港における過去14日間（9月8〜21日）累計の新規感染確認は37人で、すべて輸入性事案。ここまでの累計感染確認数は1万2168人（擬似事案1人含む）。

　香港の9月21日午後8時時点のワクチン接種率は65.6%（1回目の接種完了）、59.5%（2回目の接種完了）となっている。累計接種回数は842万3251回、1日あたり接種回数は1万8172回（7日移動平均値2万9321回）。香港ではワクチンが充足している状況で、政府は9月末までに免疫の壁を構築するのに必要とする目標の接種率7割（1回目接種完了）を突破できるとする見通し示している。香港におけるワクチン接種は事前予約制となっているが、先に高齢者に限定して事前予約なしでの接種受け付けがスタートし、21日からすべての接種対象者に拡大された。ただし、当日枠には上限が設けられている。

　香港衛生当局では、近日の輸入性感染確認例のうち、ワクチン接種を完了している患者も少なくないとし、不要不急の外遊（特に高リスク地域）及び外地における不必要な大型集会やイベントへの参加を控えるとともに、外地滞在中はマスクの着用し続け、個人・環境衛生管理に努めるよう呼びかけている。

香港特別行政区のイメージ（資料）—本紙撮影