第68回マカオグランプリ閉幕…コロナ禍でも継続、地元マカオ勢が2年連続F4トップ2独占
- 2021/11/21 20:59
- ツーリズム
マカオで年に一度開催されるモータースポーツの祭典「マカオグランプリ」。1954年にスタートした歴史ある大会で、市街地の公道を転用した全長約6.2kmの「ギアサーキット」が舞台となる。
今年(2021年)の第68回大会が11月21日夕方、全日程を消化して無事に閉幕した。
新型コロナウイルス感染症の世界的流行が長期化し、水際措置の強化によって国・地域を跨ぐ移動が困難となる中、世界のモータースポーツカレンダーに大幅変更が生じているが、マカオの状況は比較的落ち着いており、前年に続いて規模を縮小するかたちで開催が維持された。
開催期間は前年と同じく、例年から1日短い3日間(11月19〜21日)に。開催レースについても前年に続いて、グレード及び世界的な注目度も高く、マカオの4大看板レースと称される「F3グランプリ」、「WTCR(世界ツーリングカーカップ)」、「GTワールドカップ」、「モーターサイクルグランプリ」の開催はなしで、歴史ある大会としての重厚感やレースそのものの迫力不足は否めない。
今大会の開催レースは6種で、マカオ政府とカジノ経営コンセッションを締結する6陣営がそれぞれスポンサーに。具体的には、「SJM・フォーミュラ4(F4)マカオグランプリ」、「サンズチャイナ・マカオGTカップ」、「ギャラクシーエンターテインメント・マカオギアレース(ツーリングカー)」、「メルコ・マカオツーリングカーカップ」、「MGM・グレーターベイエリアGTカップ」、「ウィン・マカオチャレンジカップ(ツーリングカー)」。このうち、「ウィン・マカオチャレンジカップ」は当初「ポルシェカレラカップチャレンジ」とアナウンスされていたが、手続き上の問題により途中で変更された経緯がある。
コロナ禍での開催は2回目となるが、感染力の強いデルタ株の出現や今夏以降複数回にわたりマカオで市中感染確認例の出現があったことなどを受け、防疫対策については前年と比較して一層厳格化された。水際措置に伴い海外との往来が困難な中、参加選手も前年に続いて地元マカオ、中国本土、香港が中心だった。
大会最終日(3日目)となる21日、6種類のレースの決勝が行われた。メインは午後3時30分スタートの「SJM・F4マカオグランプリ」レース2(12周)。グランプリの象徴的存在といえるF3の代替として前回初開催されたカテゴリーで、2年連続開催。優勝はポールポジションの梁瀚昭(チャールズ・リョン)選手(所属チーム:セオドール・スマートライフ・レーシング)、2位は2番手スタートの鄭穎聰(アンディ・チャン)選手(成都天府国際スピードパーク)で、地元マカオの同一ドライバーが前回に続いてワンツーを決めた(順位も同)。1位と2位のタイム差は前回は0.513秒だったが、今回は24.530秒に拡大。鄭選手が5周目でペナルティを受け、一旦ピットエリアに戻る必要が生じ、3位に後退。その後の猛チャージで8周目に再び2位へ順位を戻すも、一旦大きく開いてしまったタイム差を縮めることは叶わなかった。
連覇を達成した梁選手はレース後の会見で、激戦を予想していたが、後続を大きく引き離せたことで、タイヤの摩耗を減らす保守的な走りができたとコメント。今後については、今現在のような「活躍」を見せることはできないと思うが、レースの知識を活かしてマカオのモータースポーツ界に継続して貢献していきたいとした。鄭選手は、ペナルティを受けてトップとの差が開いてしまったことがもったいなかったが、マシンの状況が思わしくなく、コントロールが困難な中で、2位を奪還できたことはハッピーで、ぜひ次回も参戦し、再び梁選手と競い合いたいと述べた。
また、マカオ政府体育局の潘永権局長は閉幕後に囲み取材に応じた際、前回を上回る3日間累計延べ約5.6万人の入場者を記録し、コストは前回並みの約1.7億マカオパタカ(日本円換算:約24億円)だったことを明かし、2年連続コロナ禍で大会を無事に開催できたことを、国際自動車連盟(FIA)や世界レース関係者に衝撃を与え、同局として来年の開催に向けた準備を進めていくとした。
マカオ政府が前週発表した来年の施政報告では、条件が整い次第、渡航制限措置の緩和を進める方針が示されており、次回大会が例年水準で開催されることにも期待が持てそうだ。