中国本土では、比較的早い時期に新型コロナの封じ込めに成功したが、以降も散発的な市中感染確認例が度々出現している状況。

　中国の国家衛生健康委員会（NHC）が1月1日朝に公式サイト上で公表した情報によれば、12月31日の中国本土における新規市中感染確認は175人（前日から9人増）だったとのこと。内訳は陝西省174人（西安市）、貴州省1人（銅仁市）。貴州省の1人は無症状感染から感染確認に転じたケース。中国本土で市中感染確認例が出現するのは76日連続。市中の無症状感染例については2日ぶりに出現し、河南省4人（洛陽市）、広東省1人（仏山市）の計5人。

　12月31日24時時点の中国全土で治療中を受けている感染確認者数は2886人（うち輸入性が802人）で、重症者は15人（輸入性4人）。無症状の患者514人（輸入性485人）が医学観察下にあるとのこと。

　昨年11月下旬以降、内モンゴル自治区、黒竜江省、浙江省、陝西省における感染確認例の急増や各地での新規感染確認例の出現により、再び感染確認者数に占める市中感染患者が過半数を占める状況が続いている。

　中国当局は域内における拡散防止と同時に、域外からの流入と院内感染を防止するための徹底した措置を講じるなどして「清零（ゼロ化）」を目指す徹底的な対処を進めてきた。具体的には、局地ロックダウン、全民PCR検査によるスクリーニング、区域を跨ぐ移動の制限、飲食店等の特定業種に対する営業制限等の措置が挙げられる。しかしながら、昨年10月中旬以降、中国本土の多くの地域で感染力の強いデルタ株の市中感染例が散発している状況。省市区を越えて伝播したものもあれば、一部地域にとどまるものもあり、最初のきっかけとなった感染源もさまざま。近日、内モンゴル自治区、黒竜江省、浙江省における再流行はほぼ落ち着き、全国的には安定した状況を維持しているが、このところ陝西省西安市を中心に感染確認が相次いでおり、全市ロックダウンを含む厳格な防疫措置が講じられている。今回の陝西省西安市での再流行のきっかけは、12月4日に到着したパキスタンからの輸入性事案（デルタ変異株）とみられ、同省内をはじめ、広東省東莞市など省外の各地でも関連事案が確認されている。

　広東省の省都・広州市の隣に位置する仏山市で新たに出現した無症状感染例については、同市順徳区の新型コロナ患者の治療を行う病院の職員で、当局では職務中に輸入性感染例の患者から偶発的に感染した可能性が大きく、市中への伝播リスクは低いとの見方を示している。

　このほか、マカオ特別行政区では12月31日まで83日連続市中感染確認例ゼロ、香港特別行政区では84日ぶりに市中感染確認例（オミクロン変異株疑い）が出現。具体的なスケジュールや条件等は未公表だが、中国本土、香港、マカオの三地間で隔離検疫免除の相互往来を再開する準備が進められているとされるが、香港における市中感染例の出現を受け、スケジュールに遅延が生じる可能性もありそうだ。

中国広東省広州市内にある高層ビル（資料）—本紙撮影