香港、新型コロナ新規陽性者は14人…市中は5人、すべて既知の伝播チェーン上=1/13
- 2022/1/13 19:40
- 香港・大湾区
人口約740万人の香港では、2020年11月下旬から新型コロナウイルス感染症の流行「第4波」が続いていたが、2021年5月にかけて状況が落ち着き、同月末までに終息した。
6月以降も外遊歴のない人(多くが空港業務従事者)の散発的な感染確認があったものの、長く市中における連鎖的な伝播は出現していなかったが、大晦日に検疫規則違反のキャセイパシフィック航空の男性クルーをきっかけとしたレストラン「望月樓」店内での伝播が出現したことが判明し、83日にわたって続いた市中感染確認例ゼロ記録がストップ。年初には別のキャセイ航空クルーを発端とした感染連鎖伝播チェーン(いずれもオミクロン変異株)も見つかり、連日新たな陽性者が相次いでおり、すでに流行第5波が始まったものとみられる。
香港衛生当局の発表によれば、1月13日午前0時時点集計の単日の新規陽性者は14人で、内訳は輸入関連性を含む市中が5人、輸入性(海外からの入境者)が9人。
輸入関連性を含む市中の陽性者5人はすべて既知の伝播チェーン上にあるもの。このうち1人は検疫センター保安スタッフの女性(51)で、これまで感染経路不明とされていたが、ウイルスゲノム解析の結果、先に感染確認されたキャセイ航空の女性CAのものと一致することが判明したとのこと。保安スタッフの女性は1月9日、検疫センター内の部屋に通知を貼る作業をしていたが、防護服とフェイスシールドを着用し、部屋の中にいた人と直接的な接触はなく、防護服を脱ぐ際の手順が正しいものであったかは不明で、感染経路の再検証が必要という。
初歩陽性者は10人以下。市中のケースでは、先に感染確認された患者が受診したクリニックの女性兼職看護師(診察室内に居合わせた)、同クリニックに勤務するの別の看護師1人がいるが、2人の勤務時間は重複しておらず、共通点は新界・屯門地区在住とのこと。近日、屯門地区で陽性者の確認が相次いでおり、隠れた伝播チェーンが存在する可能性もあるとして当局が重点的に検査を実施している。上述のクリニックを訪れた患者も屯門地区在住・在勤者。また、初歩陽性者の中にはフードデリバリーに従事するパキスタン籍の男性1人も含まれ、交通事故がきっかけで入院した際の検査で初歩陽性となり、パキスタンで新型コロナワクチン1回接種歴、以前にケニア渡航歴があることから、再陽性の可能性も含めて再検査を要するとしている。
目下、香港では市中で出現した陽性者及び初歩陽性者の住居のあるマンション同棟住民や立ち寄り先に居合わせた人が次々と強制検疫(検疫センターでの隔離検疫)あるいは強制ウイルス検査の対象となっており、域内におけるソーシャルディスタンス措置、水際措置の引き締めも進む状況。近日では、水際措置の強化を受けて輸入性事案が大幅減となっており、輸入性を含む市中事案は連日出現するものの1桁台を維持し、感染経路も追跡できている。
このほか、香港の1月12日午後8時時点のワクチン接種率は75.3%(1回目の接種完了)、69.9%(2回目の接種完了)となっている。累計接種回数は1036万2848回、1日あたり接種回数は4万0430回(7日移動平均値4万0068回)。香港ではワクチンが充足している状況で、政府は昨年9月末までに免疫の壁を構築するのに必要とする目標の接種率7割(1回目接種完了)を突破できるとする見通し示していたが、9月以降は接種回数の低迷が顕著で、11月23日にようやく達成された。11月11日から3回目の接種(ブースター接種)がスタートし、上述の接種回数には3回目も含んだものとなっている。3回目の累計接種回数は58万4913回。市中感染確認例が相次ぎ出現したことで、年初から再び接種回数が上向きに転じている。