香港、新型コロナ新規陽性者14人…市中は10人、地下鉄駅でオミクロン株の交差感染発生か=1/20

 人口約740万人の香港では、2020年11月下旬から新型コロナウイルス感染症の流行「第4波」が続いていたが、2021年5月にかけて状況が落ち着き、同月末までに終息した。

 6月以降も外遊歴のない人(多くが空港業務従事者)の散発的な感染確認があったものの、長く市中における連鎖的な伝播は出現していなかったが、大晦日に検疫規則違反のキャセイパシフィック航空の男性クルーをきっかけとした飲食店内での伝播が出現したことが判明し、83日にわたって続いた市中感染確認例ゼロ記録がストップ。年初以来、別のキャセイ航空クルーを発端とした感染連鎖伝播チェーン(いずれもオミクロン変異株)、ペットショップの輸入ハムスターが発端とみられるデルタ変異株の伝播なども出現。連日新たな陽性者が相次いでおり、流行第5波が始まったものとみられる。

 香港衛生当局の発表によれば、1月20日午前0時時点集計の単日の新規陽性者は14人で、内訳は輸入関連性を含む市中が10人、輸入性(海外からの入境者)が4人。単日の新規陽性者が2桁となるのは3日連続。

 輸入関連性を含む市中の陽性者10人のうち、高校生1人が感染経路不明。患者が感染したのはデルタ株だが、既知のペットショップ関連の型とは異なるといい、当局が調査を進めている。

 初歩陽性者は約20人おり、大半が市中のケースで、感染経路不明のケースも含まれる。市中のケースのうち1人について、1月4日に九龍・旺角地区のハムスターを取り扱うペットショップ訪問歴があった。香港当局の調査で、このショップの別の系列店で販売されていたハムスターが陽性だったという。

 なお、19日に陽性となった幼稚園教諭の女性は当初感染経路不明とされたが、その後のウイルスゲノム解析結果で、16日に陽性となった隔離検疫ホテルで発生した交差感染(オミクロン変異株)事案のパキスタン籍女性と一致が判明。監視カメラ映像から、この2人及びパキスタン籍の女性の子が地下鉄駅の入口で9秒差で通過しており、駅の地下通路で交差感染が発生した可能性があるとした。3人はいずれもマスクを着用し、直接的な接触はなかったとのこと。これまでに、このパキスタン籍女性の密接接触者の多くが陽性となっている。

 目下、香港では市中で出現した陽性者及び初歩陽性者の住居のあるマンション同棟住民や立ち寄り先に居合わせた人が次々と強制検疫(検疫センターでの隔離検疫)あるいは強制ウイルス検査の対象となっており、域内におけるソーシャルディスタンス措置、水際措置の引き締めも進む状況。近日では、水際措置の強化を受けて輸入性事案が大幅減となっており、輸入性を含む市中事案は連日出現するものの、低位を維持している状況。1月初旬以降はオミクロン変異株の伝播が主で、伝播チェーンはほぼ追跡できているが、感染経路不明の患者も出現する中、見えない伝播チェーンが存在する可能性も排除できないとし、警戒が続いている。また、近日は複数の学校の生徒が陽性あるいは初期陽性となっており、香港のすべてのセカンダリースクール(日本の中学・高校に相当)が1月24日以前に対面授業を取りやめることが決まった。

 このほか、香港の1月19日午後8時時点のワクチン接種率は76.9%(1回目の接種完了)、70.3%(2回目の接種完了)となっている。累計接種回数は1063万0689回、1日あたり接種回数は3万7299回(7日移動平均値3万8231回)。香港ではワクチンが充足している状況で、政府は昨年9月末までに免疫の壁を構築するのに必要とする目標の接種率7割(1回目接種完了)を突破できるとする見通し示していたが、9月以降は接種回数の低迷が顕著で、11月23日にようやく達成された。11月11日から3回目の接種(ブースター接種)がスタートし、上述の接種回数には3回目も含んだものとなっている。3回目の累計接種回数は71万6537回。市中感染確認例が相次ぎ出現したことで、年初から再び接種回数が上向きに転じている。

局地ロックダウンの対象となったエリアの住民に対する強制PCR検査受検確認作業の様子(資料)=2022年1月20日、香港・東九龍クントン地区(写真:news.gov.hk)

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